レポートNo140 2015.1.22  <倉林 勝>

カスタマイズ

メーカー等によって生産・販売される商品を、自分の趣味や感性に応じて何らかの改造を行うことを

カスタマイズという。今では、車やオートバイ、家具やパソコン等多くの工業生産品もカスタマイズされる。ここにきて、衣料品や靴、さらには食品までカスタマイズが大きな時流となってきた。ユニクロの取組等、小売店の実態を見、合わせてCCCメディアハウスから昨年11月に出版された「カスタマイズ」を紹介する。


(A)消費動向

内閣府の発表によると、昨年4月の消費増税に伴う物価上昇などで、実質所得が目減りし、個人消費が1兆円程度押し下げられたとの試算を発表した。

また、消費増税に伴う物価上昇に賃上げが追い付かず、実質的な所得の減少をもたらし、将来にわたって個人消費を抑制するとも指摘する。これらの景気押し下げ要因に加えて、夏場の天候不順も重なり、H26年度の実質GDPはリーマン・ショック後のH21年度以来、5年ぶりにマイナス成長に陥る見通しとなった。

一部のエコノミスとは、実質所得の減少、消費増税による物価上昇、円安に伴う輸入原料価格の上昇などで、食品等が値上がりし国民が生活防衛に走っているため、個人消費の1兆円減は実態より少なすぎるとの見方をする。

1997年の消費増税後1998年は名目GDPが△2.0%、1999年が△0.8%となり、その後長期の停滞を招いたことが思い出される。増税をする一方で過去最大の96兆3千億円の予算を組むなど、総選挙によりアベノミクスが信認されたとしているが本当だろうか。

 

こうした消費減少のなかで店舗数は増加の一途で、尚且つ人口は減少し、既存店穂の客数減が多くの小売業に襲い掛かる。客単価を上げることで(1品単価の上昇や買上げ点数増など)売上高の維持を図るが、業態を超える競争も激化し、既存大手小売業は苦戦を強いられている。

GMSや家電量販店、ホームセンターなどの業態は消費増税後浮かび上がる気配を見せない。

特に最大規模のGMSはイオンリテール、ダイエー、イトーヨーカ堂など軒並み営業赤字に転落し、ユニーも大幅な減益となった。

GMSの改革が叫ばれて何年が経過するだろうか。ファーストリテイリングの売上はチェーンストア協会加盟の全店舗の衣料関連品(衣料・靴・雑貨等)売上より大きく、しまむらの売上も4割に近づく。住関連品はホームセンターやドラックストアに奪われていく構図は長期にわたって変化しない。

売上の6割強を占める食品も伸び悩み、SMの後塵を拝している。日々の買い物に大型駐車場に車を止め、長距離を移動しなければならないショッピングセンター内のGMS食品売り場は主婦の支持を失いつつある。

イオンはGMS事業だけでなく、SM・DS・小型店事業も営業赤字となり多くの問題を抱えてしまった。

小売業にとって今年も厳しい状況が続くであろう。

 

(B)小売業変化の予兆

①訪日外国人

訪日外国人が1300万人を超えて、昨年1年間に日本で消費した金額は2兆円を超えたといわれる。

昨年10月から新免税制度がスタートし、消耗品(化粧品、薬品、飲料、食料品等)が免税対象となり、訪日外国人が多く集まる地域のドラックストアやコンビニなども免税カウンターの設置を急いでいる。

また、今年4月1日からは個々の店舗での免税手続きから、ショッピングセンターや商店街が免税カウンターを設置し、手続きを一括して行えるようになる。テナントは個別対応の必要がなくなり、客側も少額の買い物でも合算できることになりメリットが大きい。東京ではルミネなどが共通カウンター設置対応を急いでいる。

さらに、免税店の許可は常設である必要があったが、クルーズ船が寄港する埠頭などに臨時の免税商店を出店することも可能となり、人口減少の日本で訪日外国人の争奪戦が始まる。

百貨店既存店売上は3年連続でプラスを確保したが、訪日外国人の売上が大きく寄与している。

 

②カスタマイズ

最近、気になる動きとしてカスタマイズを導入する小売店が目につくようになってきた。

全てを自分で作るハンドメイド、仕様の注文で作るオーダーメイドとは違い、メーカー等によって生産・販売される商品を、自分の趣味や感性に応じて何らかの改造をすることをカスタマイズといい、カスタマイズに使用されるパーツはカスタムパーツとも呼ばれる。個人がカスタマイズすることはリメークなどとも呼ばれる。

車やオートバイ、家具やパソコンなどは自分仕様のカスタマイズが一般的になりつつあり、化粧品や食品にもその動きが出つつある。

ファッションも大量生産品を自分仕様にカスタマイズする動きが出てきた。個人がカスタマイズするのではなく、小売店が消費者の意向でカスタマイズサービスをするケースが出てきた。

ネットの中でもカスタマイズサービスを多く見かけ、「スターバックスカスタマイズ代表例35選」などもある。シロップの種類を変えたり追加したり、ミルクを豆乳に変えるなど、自分好みに店頭で買えることができるようだ。

 

 

ユニクロ銀座店・・・

一昨年の秋に、カスタマイズサービスの「MY UNIQLO」を銀座店、池袋店、新宿ビックロ店でスタートした。ユニクロとしていつまで継続できるかと思っていたが、今年1月時点でも継続している。

以前は、テープ、レース、ラインストーン、スタッズ、ボタンなどを置いて、シャツやジーンズをカスタマイズしていたが、今は、刺繍やワッペンを付けるなどに大きく変更している。

刺繍はブラザーの刺繍機を店舗内に設置し、シャツやパーカーなどに文字やマークを刺繍することができる。糸の色は12色、和文フォント・英文フォント・サイズは其々3種類、マークは50種類から選べる。

ワッペンはスヌーピー、ミッキーマウスを中心に多くの種類を置いている。ユニクロがライセンスを取って独自に作っていると思われるが、スヌーピーは小型で390円(税別)、ミッキーは大型で590円(税別)、クラフトショップで扱うものに比べると安い。

また、生成り帆布のトートバックが1500円(税別)で販売され、刺繍やワッペン接着などのサービスをしている。店頭では見なかったがネット内ではキルトバック(1500円・税別)も販売されている。

銀座店は訪日外国人も多く、1階の免税カウンターの近くにもスヌーピーのワッペンコーナーがある。

入園関係の商品は見当たらないが、クラフトショップにとって潜在的な脅威となるかも知れない。

現在も銀座、池袋、新宿の3店のみの展開である。

 

ユニクロ吉祥寺店・・・

昨年10月にオープンした吉祥寺店では、Tシャツに写真やイラストなどをプリントするサービスを行っている。「UTme・私だけのユニクロTシャツ」を提案し、大量生産品を自分だけのTシャツに変えるカスタマイズサービスだ。

3坪のスペースにブラザーGT3(Tシャツ専用仕様)のプリンターとプカラー定着のためのプレス機が設置され、数台のタブレット端末が置かれ1名で運営されている。消費者はA4サイズのイラスト(子供の書いた絵などが多いようだ)、写真などから、画像を読み込み15分程度でプリントされる。スマホの写真は「UTme」のアプリをダウンロードし転送するとプリントできる仕組みになっている。大人用のTシャツ1990円(税別)、子供用のTシャツ1790円(税別)で販売される。

開店当初やTV番組で取り上げられた時は受注が多かったが、通常は1日10人程度のようだ。A4の専用画用紙を配布するサービスを始めており、現在は画用紙に書かれたイラストなどの持ち込みが増えているとのことだ。現在は吉祥寺店のみの扱いだが、ネット経由でもサービスは可能になっている。

 

ナイキ原宿店・・・

ナイキのフラッグショップである原宿店は、シューズ、ウェア、スポーツグッズ等を扱い情報発信基地となっている。

店舗2階に約30坪のシューズカスタマズコーナーがある。

シューズの実物サンプル、革のカラー・素材サンプルにパソコンが3台設置されている。

好みのシューズを選択するとパソコン上でカスタマイズのシミュレーションができる。ソールの種類、カラー、ベース本体部分の素材・カラー、それぞれのパーツ部分のカラー、スウォッシュ(ナイキのロゴマーク)のカラー、ラベル、後部イニシャルの変更等、組合せは無限に近い。専属スタッフもいるので、相談しながら決めることもできる。

パソコン上で結果を見て発注すると自宅まで配送され、配送費込みでシューズ本体価格プラス2000円である。

スニーカーとして履きたいが、派手すぎるので地味にしたい。あるいは、もっと派手にしたい等自分好みにカスタマイズできる。

シューズについてはリーボック等でもカスタマイズサービスを行い、全てネット内でもシミュレーションしながら注文が可能となっている。

 

Brooklyn Charm(ブルックリンチャーム)原宿店・・・

ニューヨーク州ブルックリンにあるブルックリンチャームをオンワードHDが日本に導入し昨年5月にオープンした店である。

原宿のキャットストリートに1階16坪(売場)、2階17坪(工房)をオープンし、現在は池袋パルコ、新宿ルミネ、スカイツリーソラマチの4店舗を展開する。

メタルチャームを約1200種(200円~1800円)、プラスチックパーツ250種(100円~1000円)、天然石250種(400円~2000円)、チェーンや皮紐、毛糸紐などを扱う。貴和がビーズ中心であるのに対しブルックリンチャームはメタルパーツが中心である。

好みのパーツを組み合わせて、オリジナルアクセサリー(ブレス、ネックレス等)を作るが、自分で作るか工房で手伝ってもらうか、オーダーするか方法は自由だ。カスタマイズショップというよりクラフトパーツショップの方が適切かもしれない。ただ、このショップを運営するのがアパレルのオンワードHDであることが興味を引く。

入店するとパーツを入れる箱が差し出され、箱の中にパーツを入れてイメージを掴むことができる。完成品も販売されるが、パーツの組合せで客単価は5000円~6000円を想定し、年商2億円を目標としている。

平日夕刻に見たが、男性客も多く賑わっている。

 

4店舗を紹介したが、まだ多くのカスタマイズサービスがある。WEB上にはカスタマイズの案内が多数見受けられる。

カスタマイズはアメリカにおいても新たな潮流として21世紀の革命になりつつあるようだ。

 

(C)カスタマイズ・・・「特注」をビジネスにする新戦略

昨年11月にCCCメディアハウスから出版された「カスタマイズ」は大変示唆に富んでいるので紹介する。

著者のアンソニー・フリンは大学を卒業後、シリアルバーをカスタム製造する世界初の「YouBar」を」設立し年商数百億円の規模まで成長させた。カスタマイゼーションについて頻繁に新聞や雑誌の取材を受け、TV出演や講演を行い、企業へのコンサルタントも行うようになった。

そして、アメリカの産業を調査していくと、あらゆる企業がカスタマイズを行っているか、これから始めようとするかがわかり、この本を発表した。

 

*アメリカはカスタマイズ大国への道を進んでいる。全米共通の新しいビジネスの成功法則はいたってシンプルである。それは、顧客にカスタマイズサービスを提供することだ。

*カスタマイゼーションは単なるトレンドではない。2040年までには、食べるもの、着るもの、車、広告、海外旅行と、消費者の買うもの全てが、個人の好きなようにカスタマイズされるようになる。ありとあらゆるものが。

2010年半ばには、食品からファッションまで、アメリカの全ての製造業における業界トップの企業が、大量生産を捨て、カスタマイゼーションに移行しようとしていた。この変動はきわめて広範囲なもので、今後数十年の輪郭を形作ることになるだろう。この勢いは、産業革命が19世紀と20世紀を特徴づけたのと同等のレベルと言って良いと思う。

いたるところで、カスタム革命の火がついている。ナイキのカスタマイズシューズ、バーバリーのカスタムメイドのトレンチコート、リーバイスのカスタマイズジーンズ、デルのカスタムパソコン、マテルのカスタムバービー人形、ホールマークのレコーダブル絵本(自分の声を録音した絵本)、マースのカスタムM&M(色だけでなく、写真やメッセージが印刷できるチョコレート)、フォードのカスタムマスタング、ポッタリーバーンのカスタム家具、スターバックスのカスタマイズコーヒーなど多くある。

大企業だけでなく、オリジナルグッズの作成、写真ギフト、指輪やイヤリング、ビーチサンダル、Tシャツ、スケートボードなど多くの小規模な企業があり、それぞれ成長している。

 

*DIYからCIYへ

19世紀・・・手づくり(DIYカスタマイゼーション)

オリジナルだが非常に労力を要する。流通が限られている。品質が一定でない。

20世紀・・・大量生産

低コスト。幅広い流通。統一された品質。選択肢が限定される。工場生産による自動化。

21世紀・・・CIYカスタマイゼーション

カスタム製品。高品質。低コスト。幅広い流通。無限の選択肢。インターネットによる自動化。

1950年から2000年までの間に、アメリカ人の生活様式は大きな変化を遂げた。食生活は、家庭料理からファストフードへ。衣服は、手作りから大量生産の既製服へ。娯楽は、親の読み聞かせる物語からテレビのヒット番組へと変わった。つまるところ、生活におけるすべてが、この世で一つしかないオリジナルなものから、大量生産された安価でありふれたものに変わったのだ。

21世紀に入った今、私たちは次なる大きな消費シフトを迎えようとしている。それは、大量生産品から完全にカスタマイズされたものへの移行だ。この「なんでもカスタマイズ」志向への動きは、いろいろな意味で、かつての生活様式への振子の揺り返しといえる。既製品よりもカスタムメイドを好むようになったことで、皆、より新鮮で加工の少ないものを食べ、自分のニーズやスタイルに合った耐久消費財に囲まれて暮らし、自分のセンスや体型にぴったりフィットした注文服を着るようになってきている。

産業革命以前は、カスタムメイドが当たり前の時代だった。なんでも手づくりしていたからだ。でも今のカスタムメイドはドゥー・イット・ユアセルフ(DIY)ではなく、いわば「クリエイト・イット・ユアセルフ(CIY)」だ。

CIYとは、人と違うオリジナルなものをクリエイト(創作)する、つまり楽しい部分だけを自分でやるという意味だ。例えば、マスタングに塗装する炎のデザインをするとか、グルテンフリー(小麦のグルテンを含まない)のシリアルバーの材料を好きなように選ぶといった工程だけを自分でやり、実際に車体にステンシル塗装を施したり、小麦抜きの料理をしたりといった面倒な作業は人にお任せというパターンである。

今までは、CIYは超富裕層だけの特権だった。しかし、21世紀に入った頃から、CIYが工業的な量産体制(マス・カスタマイゼーション)で実現できるようになった。インターネットで生産者と消費者が直につながり、大きなマージンを取る小売店がいらなくなったり、消費者が自宅のコンピューターで簡単にカスタムデザインできるようなオンラインのコンフィギュレーター(オプションや機能の組合せが多い製品で、要求に応じて最適な組み合わせを選ぶシステム)を企業が比較的安いコストで利用できるようになったりしたおかげで、CIY製品を大量生産品とほぼ変わらない価格で提供できるようになった。

 

*カスタマイズ事業はかつて、データの移動にコストがかかったため、企業にとって非常に高くついた。顧客が要望を説明するのに、高給取りのデザイナーと打ち合わせをし、デザイナーがデザインを作成し、顧客がそれを承認するというプロセスが必要だった。しかし生活のあらゆるものがデジタル化し、はるかに安いコストでデータのやり取りが可能になった。

インターネットの普及がかなり進んだ2001年、急激に一般消費財メーカーが低コストでカスタマイズサービスを提供する技術が利用可能になったのだ。消費者がオンラインストアへアクセスし、専門家の力を借りずに、自分でカスタム商品をデザインすることができるようになった。インドチーノ(スーツ)やドレスバイデザイン(ドレス)などのオンラインストアでは、消費者が自宅で寸法を測り、楽しくインタラクティブなオンラインのデザインツールを使って、自分だけのスーツやドレスをデザインし、会社がその通り服を作る。

このやり方は加工食品でも同じだ。「ユーバー」を例にとれば、消費者が自分だけのヘルシーなシリアルバーを栄養士の手も借りずにうまくミックスするなど、インターネット以前の時代には絶対に無理だっただろう。ユーバーは「栄養計算機能」により、消費者が100種類以上の選択肢の中から選んださまざまな材料に応じて、脂肪分やカロリーなど、シリアルバーの成分情報がリアルタイムで表示される仕組みになっている。

常駐の専門家の助けが要らなくなったことで、カスタマイズ企業はコストを大幅に抑えることができるようになった。それでも、カスタマイズ製品はやはり大量生産よりは高くつく。そこをカスタマイズ企業は、インターネットによる消費者への直接販売モデルによって補っているのだ。製造業者は、消費者に直接販売することで、小売店を通して売った場合のマージンをカットできる。製造コストが高くついたとしても、消費者への小売価格は変わらないのである。

*カスタマイゼーションが経済にもたらすもの

カスタマイゼーションという巨大な成長市場が、アメリカの主要業界の一部を占めるようになる日は近いだろう。MIT(マサチューセッツ工科大学)の推測では、今後10年以内に、アメリカ人の買う衣料にカスタムメイドが占める割合は15%に上り、既成の食品や飲料に占める割合は5%になるという。統計的な割合としてはさほど大きく聞こえないかもしれないが、絶対数に直すと巨大な数になる。2020年には、カスタム衣料の年間市場規模は3兆7500億円(1ドル=100円)、カスタム食品と飲料は5兆円市場という推定になる。

 

*選択肢のパラドックス

多ければ良いというものではない。科学的には、選択肢がありすぎるのは良くないことになっているのだ。消費者は、あまり多くの選択肢を与えられると、圧倒されてしまったり、誤った選択をすることを恐れたりし、結局は何も選ばないことになるケースが少なくないのだ。決断できずに煮詰まってしまうとか、時間がかかりすぎて疲れてしまうことがある。

選択肢を多くした方が話に乗る人が多いのではないかと考えられがちだが、現実には、選択肢が多い方が買う人は少なくなる。そこが「パラドックス」なのだ。

選択肢のパラドックスはCIYのビジネスモデルにとてつもない潜在的問題を突きつける。カスタマイゼーションは選択肢こそがポイントだからだ。

多くの企業が、選択肢のパラドックスを克服するために貴重な時間と費用を費やしてきたが、カスタマイズ事業で成功している会社はどこでも「二つの共通法則」を見出していた。

①顧客に選択肢を与えすぎてはいけない

消費者の選択肢をある程度制限することは非常に重要だ。選択肢が多すぎると、マス・カスタマイゼーションの経済性が損なわれてしまう。選択肢を標準化しなければ、製造の自動化・標準化ができず、マス・カスタマイゼーションでなく、旧来型の本格的カスタマイゼーションへ後戻りすることになってしまう。

②まず完成したデザイン見本を顧客に選ばせる

カスタムメイドのバックを立ち上げた企業の、当初のコンセプトはバックの全ての要素を顧客自身にデザインさせることだった。しかし、そのビジネスモデルでは成長が見込めないと感じ、「全種類」はあまりにも多すぎることに気付く。

その結果、出来上がり見本をデザインし、それをスタートポイントとして顧客が自分のバックをデザインできるようにした。この、「インスピレーション(参考モデル)」を使ったシステムがビジネスを成功へと押し上げた。

 

幾つかを抜粋して要約したが、この書籍にはまだ多くの事が記されている。

*行動心理学では、人は自分で苦労して作り上げたものをことさら愛でるということが、既成事実とされている。

*“新アマゾン”は、現在のアマゾンが扱うすべてのもの(車、靴、バック、シャツ、DVD、家具、その他)を販売するが、大きな違いは、それらすべてがカスタム注文できるということだ。

*可能性が無限なので、3Dプリンターによって私たちの生活がいったいどんなふうにかわるのかもまだわからない。それは、1970年代当時の人に、インターネットで生活がどのように変わるのかを聞くようなものだ。

*カスタムの世界では、誰かが欲しいと言わなければ何も作られないのだから、無駄が激減するはずだ。

 

他に多くの事例と共に、CIYビジネスの立ち上げ、既存事業にCIYを加える、カスタマイゼーション7つの教訓、マーケテイングをカスタマイズする、CIYビジネスを成長させ続ける、食品をカスタマイズして完璧なスタイルと健康を、等が記載され、巻末には米国を中心に欧州、オセアニア等のカスタマイズ製品・サービスを提供する企業一覧773種(幅広い業種)が掲載されている。

 

ハンドメイド、オーダーメイド中心のクラフトショップにも、カスタマイズというコンセプトが求められているだろう。参考になる書籍と思う。

 

以上