レポートNo137 2014.12.26  <倉林 勝>

2015年経済予測・各経済紙ヘッドライン

各経済紙の主要論点を記す。


*編集長

<日経ビジネス>

復活の最後のチャンス・日本の総力戦が始まる

(田村俊一・日経ビジネス編集長)

師走の総選挙を経て「アベノミクス」は第2幕に入りました。しかし、第2幕の主役は政策だけではありません。今後は企業が国内投資をどれだけ伸ばすか、収益を賃上げという形でどう従業員に還元するか、さらに自らの成長戦略をどう描くか、こうした企業努力が必要とされます。

消費税が先延ばしされたということは、日本全体がいまだ成長軌道に乗り切れていないということ。その責任は企業にもあります。2017年4月までの今後2年の間に、政府も企業も自らの未来に対する答えを出さなければなりません。

2015年は敗戦から70周年の節目の年でもあります。戦後70年の日本の歩みは正に山あり谷ありでした。欧米に追い付け追い越せで「坂の上の雲」を目指した幸せな高度成長期。「もはや欧米に学ぶものはない」と傲岸でさえあったバブル期。そしてバブル崩壊から現在に至る「失われた20年」。2020年の東京オリンピックまでの5年間は、日本に与えられた復活への最後のチャンスです。

世界に目を転ずれば2015年はかつてないほど先行き不透明な年になるかもしれません。多発する紛争、中国経済の成長鈍化、オバマ政権のさらなる弱体化・・・

一方で、日本にとっての追い風もあります。原油価格の下落はその最たるものでしょう。難航しているTPP交渉もさすがに2015年中には大きな進展を見せでしょう。訪日外国人の増加も国内消費を下支えする意味で追い風になります。国全体ではいまだ円安の恩恵を享受できる状況にはありませんがが、1ドル=120円台になるとメリットが出てきそうです。堅調な株価も企業経営を安定させます。

日本の総力戦がいよいよ始まります。

 

<The Economist ・The World in 2015・日本語版>

経済、政治、文化の面で分裂していく世界に注目が集まる

(ダニエル・フランクリン・The World 2015編集長)

2015年は楽観的になれる要素があまりない。2015年の末に向けて2つの大きな会議が予定されている。1つは「持続可能な開発目標」を決める国連会議で、もう1つはパリで開かれる「国連気候変動会議」である。そこでは関係諸国が協調して地球規模の大きな課題に取り組むことができるかどうかが問われることになる。しかし2015年の大半は、経済、政治、文化の面で分裂していく世界に注目が集まるだろう。

西側の経済は岐路に差し掛かっている。米国と英国は現在、着々と金利を引き上げつつある。反対に、景気後退とデフレの危機にさらされているユーロ圏と日本では、さらなる金融刺激策を実施する予定だ。その結果、金融市場は不安定になるだろう。FF金利の上昇、ユーロ圏のお荷物国のトラブル、中国の成長に対する不安要素、これらすべてがパニックを呼ぶ危険性を秘めている。

2015年には、ナショナリズムが強まり、多くの課題において国際協力が成り立ちにくくなる。欧米各国は成長する中国と「ならず者」のロシアに対して、どの程度強い態度をとるかという議論を始めるだろう。米国内においては、共和党が上下両院で多数を握った連邦議会とオバマ大統領の対立によって、政治上の分裂がさらに目立つようになるだろう。・・・・・

 

低迷する西側・2015年に民主主義への不安が再浮上する

(ジョン・ミクルスウェイト・The Economisut編集長)

2015年の予想でもっとも当たりそうに思えるのは、有力な民主主義国すべてで人々が指導者に深い落胆を覚えるだろう、というものだ。総選挙が実施される英国、スペイン、そしてカナダの有権者は、そういったフラストレーションをぶつけるだろ。

米国の有権者は2014年の中間選挙を怒りのはけ口としたが、共和党議会が民主党大統領と対立しており、現在さらなる膠着状態に陥っている。米国の場合は、少なくとも経済の回復を喜ぶことができそうだ。不況が続く欧州連合では有権者が怒りの声をあげ、2014年議会選挙での変革を求めたが、結果として得られたものはごくわずかだったので、2015年の状況はさらに暗いものになりそうだ。

日本でも同じことがいえる。2015年は有権者がアベノミクスに愛想を尽かす年となるかも知れない。

・・・・・

 

(A)日本経済

<エコノミスト>

円安と景気・・・もはや円安は経済にマイナス・輸出は増えず、消費に悪影響

(小玉祐一・明治安田生命チーフエコノミスト)

薄れる資産効果・・・

アベノミクスのここまでの最も大きな成果が、株高・円安の実現であることに疑いの余地はない。政権交代時から11月の衆院解散までの株価上昇率は約74%、円安幅は約34円で、いづれも近年の政権中では際立って大きい。

ただ、景気回復という面では、いまだ道半ばである。消費増税の影響が予想以上に大きかったのは確かだが、昨年の10~12月期以降の4四半期のうち、実質GDP成長率がプラスになったのは、駈込み需要のあった1~3月期のみである。景気の山は1月だった可能性が高く、増税前に景気はすでに息切れしていた。

要因として考えられるのは、政権発足当初の円安・株高に伴う資産効果が薄れたこと、10兆円規模の2012年補正予算の効果が減衰してきたことである。円安は株価押し上げには寄与したものの、本来もっと大きなメリットのはずである輸出の増加という点では成果を上げていない。

輸出が伸び悩む理由としては、①海外景気の弱さ、②下がりにくい輸出製品価格、③現地生産へのシフト、④電機産業の国際競争力の低下、などの複合的要因が考えられる。

米国景気が堅調に推移し、かつ2年間で40円以上の円安が進んだにもかかわらずこの程度であれば、たとえあと10円円安が進んだところで、それで突然輸出が加速を始めるとは考えにくい。

交易条件の悪化・・・

輸出が伸びないのであれば、逆に負の影響のほうが大きい可能性が出てくる。

まずあげられるのが、海外との交易条件が不利な方向に動くことが、所得の海外流失に繋がることだ。7~9月期は、05年の基準年との対比で24.4兆円の交易損失が生じている。足元の原油安は交易条件の改善に向けた絶好のチャンスといえるが、円安はこの効果を一部相殺してしまうことになる。当社の経済予測では、14年の交易損失は13年に比して約3兆円拡大する。うち約2兆円は円安要因、約1兆円が他の要因である。

円安は、輸出企業にとって円換算後の企業収益の拡大につながるという利点もあるが、たとえば大手自動車メーカーの3次・4次下請けレベルになると円安の悪影響をかなり受けているのが実態である。実際、中小企業まで含めれば、為替相場と企業収益との直接的な相関はそれほど高いわけではない。円安が進めば進むほど日本経済にプラスという主張は、大手企業の株価のみを追いかけている人の言い分ではないか。

3ヶ月で約15円という、相場変動のスピードも明らかに速すぎ、最近の円相場はさすがに行き過ぎの印象が否めない。たたでさえ、アベノミクスの恩恵は地方に及んでいないといわれる中で、地方の中小企業の円安倒産が増加すれば、一気に景気への悪影響が目立つようになってくるだろう。

家計・中小企業を圧迫・・・

物価目標至上主義的な立場を取るのであれば、円安は神風に等しい。ただ、コストアップ型の上昇ではインフレ期待が定着するとは考えにくい。足元の景気減速の主因は個人消費の鈍化だが、実質所得減に悩む家計にとって、円安による物価上昇は余計に家計を圧迫することになる。

今年の春先はベアが話題となったが、推計されるベアの水準は0.4%程度に過ぎない。結局のところ、中堅・中小企業にはほとんど広がっていなかったのが実態と見られ、来年度も同程度の上昇にとどまるのであれば、実質賃金は引き続きマイナスとなる可能性が高い。

政府としては、潜在成長率を高める構造改革を地道に進めるしかない。

 

雇用と格差・・・増加する非正規のサービス業・無貯蓄世帯の割合も増加

失業率は低下しているが、低賃金の雇用増加が目立つ。雇用改革は待ったなしだ

(藤原裕之・日本リサーチ総合研究所主任研究員)

完全失業率は今年10月3.5%と1997年以来の低水準にある。失業率の改善それ自体は、日本経済にとって明るい要素だ。ただ、日本の雇用と賃金には今、「経済のフラット化」と「人手不足」という大きな2の構造変化が進行している。経済のフラット化とは、新興国への雇用のシフトとIT化による労働の代替を意味し、格差拡大の一因ともなっている。

経済がすでに完全雇用に近い状況にあることを示しているが、リーマンショック前と比べれば、生産年齢人口の減少が一層の拍車をかけているといえる。

製造業から海外流失・・・

雇用の中身は大きく変化している。職業別に09年と13年の雇用を比較すると、介護サービス30万人増、保険医療29万人増、清掃15万人増、飲食物調理14万人増と、社会福祉や飲食などで雇用が大きく増加する一方、一般事務26万人減、製品製造・加工処理25万人減、機械組立16万人減など、製造業を中心に雇用が顕著に減少していることが分かる。

雇用が増えた職種の特徴は、賃金が平均より低く非正規雇用が多い点にある。それを裏付けるのが所得格差の拡大傾向で、年間所得400万円超えの層の割合が減少する一方、400万円以下の低所得層の割合が増加しており、特に200万円以下の増加が顕著だ。日本経済においては、厚みのある中所得層の存在が国内消費の主役となっていた。そうした特徴も今後変化していく可能性がある。

格差の拡大は、所得という「フロー」面だけでなく金融資産という「ストック」面でも起きている。07年には20.6%だった無貯蓄世帯の割合は14年には30.4%まで急増した。アベノミクスによって13年以降、株高が進行したが、株高の恩恵を受けられるのは高所得者に限られており、資産格差は一層拡大していることが予想される。

フラット化の波を最初に被ったのは製造業である。モジュラー化が急速に進んだことで、新興国を中心とする水平分業型に移行していった。結果として雇用の多くは海外に流れ、日本には本社機能やR&D機能、マザー工場的な機能のみを残すようになった。

こうしたフラット化の波は、日本ばかりでなく先進国全体の労働市場を大きく揺るがしており、米国でも非正規雇用ばかりが増加する同様の現象が起きている。

人手不足にも直面・・・

日本は第2の構造変化「人手不足」にも直面している。人手不足は最近、低賃金・長時間労働を事実上強制する「ブラック企業」の問題としても注目されるようになったが、実は地方では何年も前から存在していた現実である。生産年齢人口の減少が著しい地方では、バスの運転手や介護・福祉などの職種で恒常的な人手不足状態にある。地域の雇用を担う中小企業の雇用判断指数の推移を見ると、小売業やサービス業では10年頃からすでに人手不足状況に陥っていた。その後、建設業や卸売業、製造業に至るまで、幅広い業種にわたって人手不足が広がっている。高齢化などによって特に地域のサービス業は一定の需要が見込めるにもかかわらず、人手不足がまさに地域経済のボトルネックとなって表れている。

ローカル経済圏のサービス業の賃金は低く、人手不足なら賃金が上昇してもいいはずだが、サービス業の生産性の低さが賃金上昇を阻害している。ローカル経済圏の人手不足問題を解決するには、地域サービス産業の生産性を引き上げるしかない。

そのためにはまず、非効率な企業の新陳代謝を促進することが欠かせない。特に中小企業金融円滑化法など過去の政策措置によって、本来は退出すべき企業が依然として市場にとどまっている。企業の退出は当然、痛みを伴うこともある。しかし、生産性の向上と雇用・賃金環境の改善はイコールであり、非効率な企業が温存される限りは賃金も上昇しないことを認識しなければならない。

14年は人手不足による「労働供給の壁」が広く認識された。15年は雇用改革を進めるチャンスの年にしなければならない。

 

<東洋経済>

増税延期は不要だった?・原油安が円安を上回る

*原油安で個人消費は15年に改善に

*企業利益はリーマンショック前を超える最高水準

*実質GDP成長率は2014年10~12月から緩やかなプラス成長見込み

*心配の種はむしろ資産市場や日銀の動向

(東洋経済編集部)

実体経済は原油価格下落の恩恵もあって緩やかに回復、一方で株式などの資産バブルの種がまかれかねない・・・。2015年は一言でいうと、そんな年になりそうだ。

円安による輸入物価上昇と消費増税を受けて個人消費の反動減が想定以上に長引いた国内景気。14年度の実質GDPは0.5%程度の減少と予想され、東日本大震災後の11年度以来、3年ぶりのマイナス成長になる。

14年7~9月の実質GDP成長率は、民間の在庫投資や設備投資などが冴えず2四半期連続の減少となった。ただ、マイナス成長の最大の要因となった民間在庫投資の減少には、景気回復の側面がある。鉱工業生産を見ると、秋口から在庫率が改善され、稼働率も上がっている。駈込み需要後に積み上がった在庫がさばけてきたからだ。

個人消費も15年には上向いてきそうだ。時間と共に消費増税のインパクトが吸収されていくうえに、雇用環境は相変わらず良好だ。「雇用の質」には課題があるが、大企業を中心に賃上げは着実に進む見通しだ。15年4月以降は物価上昇率における消費増税の影響が剥落するため、ながらく低迷してきた実質賃金や実質消費もプラスに転じてくる。賃上げが持続すれば、内需は自然と緩やかな回復に向かう。

 

大きな援軍も登場した。原油安である。今夏まで1バレル=100ドルを超えていた原油価格は、12月上旬時点で60ドル台と、短期間に約4割もの下落を見せた。サウジ主導で減産が見送られ、価格低下が容認される流れだ。

エネルギー輸入大国の日本にとっては大いなる僥倖となる。民間研究機関などの推計によると、現在の円安水準を加味しても、輸入金額の減少を通じて、名目GDP比11.5%分の国民所得増効果があると見られている。これは消費税率換算で23%に相当、14年春の消費増税を打ち消すほどの効果である。

具体的にはガソリン価格下落などを通じて家計の消費改善につながる。原油安が米国景気回復をも加速させればアジア経由を含めた日本の輸出回復も現実化するかも知れない。

一方で安倍政権は、地域商品券などを軸とした14年度補正予算(2兆円規模)を検討している。原油安の恩恵が顕在化してくれば、補正予算は無用なバラマキとの批判が起き、15年後半には、「消費再増税延期も不要だった」との議論も出てくるかもしれない。

 

景気の回復は、株価など資産価格にも好影響を与え、それが高額消費を刺激するというサイクルもある程度復活しそうだ。ただ、日銀の追加金融緩和やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式運用拡大によって、すでにバブルの素地が作られているだけに、15年は過剰な資産価格上昇に注意すべきだ。

景気が上向いても日銀の目標である「物価上昇率2%」が15年春に実現している可能性は皆無だ。仮に再追加緩和に動けばバブル醸成や通貨発行による国債消化(マネタイゼーション)の度合いが強まり、日本経済に致命的な打撃を与えかねない。

 

<ダイヤモンド>

原油安は経済成長を押し上げ、賃金上昇次第で1%へ到達

消費増税の反動によるマイナス成長から脱するのは確実だが、その回復ペースはどうなるのか。

増税先送りで財政再建はどうなるのか。

エコノミスト9人の分析・予測の紹介

(編集部)

2014年4~6月期、7~9月期とマイナス成長が続いた日本経済だが、15年はプラス成長に回復する。ただ、9人のエコノミストの15年の実質経済成長率の予想は0.4%から1.6%まで大きくばらついた。

1.6%と最も高い成長を見込む牧野潤一(SMBC日興証券チーフエコノミスト)は「労働供給制約が雇用・賃金環境を改善させ、企業に省力化投資を促し、個人消費、設備投資双方を刺激する」と見る。総じて、高めの成長予測は賃金増加による消費増効果を強く見込むケースが多い。

一方、0.4%と最も低い予想をした河野龍太郎(BNPパリバ証券チーフエコノミスト)は、「原油価格が70ドル前後で推移すれば、実質経済成長率は0.3pts程度押し上げられる。原油価格下落に支えられて、ゼロ近辺にまで低下した潜在成長率を上回る成長が継続する」と説明する。

原油安もあり、消費者物価上昇率は1%弱(消費税の影響を除く、含めれば1%台前半)にとどまりそうだ。日銀の目標2%には及ばない。

 

(B)米国経済

<日経ビジネス>

いよいよ自律回復局面へ・業種間や地域間に残る回復格差

(太田智之・みずほ総合研究所調査本部ニューヨーク事務所長)

*企業と家計が主導する自律的な回復局面へ

*業種や地域など回復の広がりという点にも注目

*政治リスクは低下するも大統領の出方には要注意

2015年の米国経済は、伸び悩む多国を尻目に順調な拡大を続ける1年となりそうだ。

IMFが10月に発表した世界経済見通しでは、欧州各国や日本のほか、主だった新興国の経済成長率が軒並み下方修正された。そうした中、引き続き堅調な回復が見込まれているのが米国である。2015年の成長率予測は3.1%と、主要先進国の中でも断トツだ。

自律回復に向かう米国経済・・・

景気回復の足かせとなっていた家計の過剰債務調整は、米国ではもはや死語となってしまった感がある。債務の削減もさることながら、株価や住宅価格の上昇で保有する資産価値が増大し、家計のバランスシートが急速に改善されているからだ。世帯当たりの平均保有資産額は14年6月時点で83万ドルと、既に住宅バブル時のピークを12%も上回っている。

加えて、「歳出削減」という言葉も語られなくなった。2014年度の財政赤字はGDP比で2.8%と金融危機真っ只中の9.8%に比べ3分の1以下にまで縮小した。

景気が回復に転じて5年が経過し、米企業もようやく設備投資や採用に前向きになってきた。米企業部門の資金過不足のギャップを見ると、2014年に入り、足元で米企業が手元資金を上回る設備投資を行っていることが示されている。

同時に採用活動も活発化させている。順調な雇用拡大を受けて、失業率もほぼ6年ぶりとなる5%台まで低下した。雇用環境の改善は、家計にも好影響を与えている。14年秋に海外経済の減速、エボラ出血熱の感染拡大への懸念が高まったが、消費マインドが悪化することは無かった。家計の先行きに対する楽観ムードはむしろ強まり、ようやくとはいえ、企業と家計の好循環、いわゆる自律回復メカニズムが動き始めたと見て良いだろう。

業種や地域で異なる回復ペース・・・

自律回復の様相を呈する米国経済だが、注意点はある。回復の恩恵が均等に行き渡っているわけではない。ノースダコダやテキサス、ユタなどシェールガスに沸く州で雇用が増加し、一方で、住宅バブル期にサブプライムローンが急拡大し、ヒスパニック系住民が多い南部のネバダ、アリゾナ、アラバマ、ニューメキシコなどは、いまだにその後遺症を引きずっている。州による回復格差は、業種による好不調の相違を反映している。

業種別の実質付加価値額を見ると、シェールガスを含む鉱業は07年比でおよそ4割も増加している。全業種で付加価値増が6%にとどまっていることを見ると、同業種の活況ぶりがうかがえる。好調なのは鉱業だけでなく、情報サービスや教育・医療サービスも堅調に拡大し、米経済回復の一翼を担っている。

一方、建設業は07年比で8割程度と引き続き低迷し、製造や卸・小売、宿泊・娯楽サービスなども回復ペースは遅れ気味だ。2015年の米国経済を見るにあたっては、これら出遅れ業種の回復力が強まるか、成長率だけではなく、回復の広がりという点にも注目したい。

いよいよ利上げへ・・・

米国経済の着実な回復を受けて、FRBも先行きに対する自信を深めている。金融政策においては「利上げ」が2015年のキーワードになる。

利上げの開始時期について、FRBは経済状況次第とのスタンスを維持しているが、金融市場では2015年後半との見方が有力だ。むしろ市場の関心は、利上開始時期から利上げペースに移っている。

通常、景気が回復すれば、物価上昇圧力は強まり、インフレ率は上昇する。ところが、景気が着実に回復しているにもかかわらず、米国のインフレ率は高まる兆しがうかがえない。個人消費支出デフレーターはエネルギー価格の下落などを反映して足元ではむしろ伸びが低下している。

また、雇用者数こそ順調に増加しているが、賃金は引き続き伸び悩んでいる。

つまり、雇用の最大化と物価の安定を目標に掲げるFRBにとって、利上げをスルスルと実行できる状況にはないと、市場は判断している。

共和党大勝で政治リスクは低下・・・

11月に実施された中間選挙では、共和党が予想以上の大勝をした。上院でも多数党の地位を奪還したほか、既に過半数を握る下院でも議席数を大きく伸ばした。その結果、「決められない政治」の原因とされる議会の「ねじれ」は4年ぶりに解消した。共和党の統一議会となることで、法案の審議が格段に進めやすくなり、これまでに比べ政治リスクは低減したといえる。

民主党出身の大統領と議会との「ねじれ」はなお残るが、2016年の大統領・議会選挙を見据え、共和・民主双方で折り合える点はでは折り合うとの雰囲気が出てきた。通商やエネルギーなど、比較的党派対立が少ない分野で政策が進展するとの期待が高まっている。

注意が必要なのはオバマ大統領の動向だ。移民制度改革や中国と合意したと突然発表した温暖化ガス削減などで、共和党の心理を逆なでするような言動を続けている。オバマ大統領の出方次第では、党派対立が再び先鋭化する事態になりかねない。そうなると、通商やエネルギー政策どころか暫定予算など最低限やらなければならない期限切れ法案の延長にすら手間取る可能性がある。

 

<エコノミスト>

潜在成長率を超える2.7%成長・米国の最大のリスクは欧州の低迷

世界経済に対する減速懸念は根強いが、賃金上昇が視野に入り、原油安のサポートを受ける米国経済は底堅さを増している。

(丸山義正・SMBC日興証券シニアエコノミスト)

米国の非農業部門雇用者数は14年11月に前月比32.1万人と高い伸びを記録した。多くのエコノミストが雇用拡大の目安と考える20万人増を、1年以上にわたって確保している。

雇用情勢の改善を映し、労働市場の需給も引き締まりつつある。11月の失業率は5.8%まで低下し、FOMC(米連邦公開市場委員会)の関係者が想定する均衡水準である5%前半まであと一歩に迫った。賃金上昇率を前年比で見ると、いまだ2%増近くで一進一退のままだが、11月に前月比0.4%増と高い伸びを示すなど上昇の動きが見えてきている。労働需給が一層引き締まりを見せると考えられる15年半ばに、賃金上昇は明確化する見込みである。

こうした雇用・所得環境の改善に加え、原油安も米国の消費者にとって追い風となる。原油安を受けて12月上旬のガソリン価格は1ガロン2.6ドルまで、9月に比べ2割も下落した。原油安は継続しており、ガソリン価格はさらに低下する可能性が高い。ガソリン支出は、米国において消費支出の3%を占めるため、2割下落は家計の実質可処分所得を0.6%押し上げる。こうしたさまざまな追い風を受け、14年の年末商戦は好調に推移しており、そうした堅調な個人消費支出の拡大が15年も続く見込みである。

原油安の恩恵は、ガソリン価格の下落にとどまらない。広範なエネルギーコストの低下を通じ、家計や企業の所得拡大につながるため、真のメリットはさらに大きいだろう。

 

設備投資には15年後半から追い風が吹いてくる。現在は、賃金の伸びが極めて緩慢なため、労働投入を抑制するための効率化投資を必要と感じていない企業が多い。しかし、賃金上昇率が高まる15年半ば以降には状況が変わるだろう。

15年前半は個人消費を主体に、後半からは設備投資も加わって、民間需要が堅調に拡大し、15年も米国経済は2%程度と考えられる潜在成長率を上回る成長を確保する見込みだ。

米国経済の成長率が暦年平均で14年の2.3%増から15年には2.7%増へ高まると予想している。

 

米国の金融政策は15年に引き締め方向へ転換する見込みだ。15年前半の賃金上昇率の高まりを確認したうえで、15年6月にFOMCは政策金利の誘導目標を現在の00.25%から0.25%~0.50%へ引き上げると想定する。

なお、原油安とドル高により、インフレ率は低下が見込まれる。個人消費デフレーターは14年10月時点で前年比1.4%上昇だが、15年半ばには1%上昇を割り込むと予想する。しかし、こうした低下は主として財価格に起因する動きであり、エネルギーを除くサービス価格はすでに賃金上昇の高まりを受けて、上昇のスピードが加速する見込みである。原油安がもたらす需要拡大の効果と、サービス価格、すなわち賃金の上昇が併存する下で、FOMCは利上げ開始を躊躇しないだろう。

 

米国経済が順調な拡大を続ける下で、FOMCが15年6月に利上げに踏み切り、景気の過熱を防止し息の長い景気拡大局面を演出するというのがメインシナリオである。

そうしたメインシナリオに対する最大のリスクとして挙げるべきは、やはり欧州経済の動向だろう。

EU向け輸出が米国の輸出に占める割合は09年の20.9%から13年には16.6%まで低下したが、いまだカナダに次ぐ第2位のポジションにある。EU向け輸出が大きく落ち込めば、米国にとって外需を経由した大きな逆風となる。

15年の欧州に顕著な景気回復は期待できないが、ユーロ圏の成長がマイナスとならない限り、内需の拡大や他の地域向け輸出の増加により補われ、米国経済の拡大基調を損なう可能性は低いと考えている。しかし、予想外の強い逆風が欧州から吹くリスクには十分な留意が必要である。

 

(C)中国経済

<日経ビジネス>

新成長モデル「新常態」は成功するか・キーワードは「消費」「環境」「高齢化」

(三尾幸吉郎・ニッセイ基礎研究所上席研究員)

*経済構造の高度化、改善に重点

*2015年の成長率は7%前後にダウン

*消費、環境、高齢化では日本の経験が生きる

中国では経済成長率の鈍化が止まらない。14年1~9月期の実質GDP成長率は前年比7.4%増と13年の同7.7%増を下回る。成長率が7%台となるのは2012年以降3年連続で、それまでの10年平均が年率10.6%だったのに比べると約3pts鈍化している。

成長率を押し下げた3つの要因・・・

第1は、少子高齢化の進展で生産年齢人口の伸びが鈍化してきたことだ。14歳以下の人口が少なく、55歳以上の人口が多いことから、今後は2015年頃をピークに減少に転じる見込みで、経済成長を抑制する要因となる。

第2は、バブル化した経済を調整していることがある。2008年のリーマンショック後に、4兆元の大型景気対策を打ち出し、2009年には先進国がマイナス成長に陥るなかでも、中国経済は9.2%増の高速成長を維持した。しかし、副作用も大きく、製造業は過剰生産設備を抱え、住宅価格は庶民の手に届かない高値に上昇、地方政府も債務が巨大化している。無理をして高速維持をしたことで、経済のバブル化が進むという弊害が目立ってきた。中国政府はバブル化した経済を調整し、健全化することを優先しており、その過程では投資の伸びが鈍り経済成長を抑制する。

第3は、従来の成長モデルが限界に達したことである。外国資本の導入で鉱業生産を伸ばし、その輸出で外貨を稼いだ。稼いだ外貨は生産のインフラ整備に回され、中国は世界で有数の生産設備を整えた。世界の工場となったが、経済発展とともに賃金も上昇、また人民元が上昇したこともあって製造コストは急上昇し、より安く生産できる製造拠点を求めて、中国から後発新興国へ工場が流失し始めた。

そこで、中国は従来の成長モデルに代わる新たな成長モデルを築くために構造改革が進められている。外需依存から内需依存(特に消費)への転換、労働集約型から高付加価値型への製造業の高度化、新たな雇用創出の柱となるサービス産業の育成などである。しかし、現在はその過渡期で、新しい成長モデルはまだフル活動に至らず、成長率を落とす要因となっている。

2015年成長率は7%前後・・・

国家主席をトップとする最高指導部は、成長率は中高速へと鈍化したものの経済構造は質的に改善・高度化していることから、これこそ中国の「新常態・ニューノーマル」だと指摘。高速経済への回帰を目指すのではなく、経済構造の改善・高度化に重点を移すと表明している。

このようなことから、中国経済の今後を展望すると2015年の成長率は今年よりやや低い7%前後となるのではないかと見ている。

重要項目別に見ると、投資寄与率は徐々に低下している。09年の9割弱から14年1~9月は4割強と半減、バブル化した経済の調整が続く中では2015年も大幅な改善は見込めない。投資に変わり期待される消費は、成長率への寄与度が5割前後まで上昇してきている。だが、成長率の鈍化に伴って所得の伸びも鈍りそうなことから2015年も3%台後半のプラス寄与にとどまりそうである。純輸出は好調で、2014年1~9月期の成長率に0.8ptsのプラス寄与となった。その背後には国際商品市況の下落で輸入が減ったことがあり、2015年はその効果が薄れてプラス寄与は減少しそうだ。

経済政策の観点から見ても、無理に高速成長を目指すとは考えにくい。中国政府は既に新常態に移行したことを明確に打ち出している。

厚みを増す中間所得者・・・

今後の中国ビジネスを考える上では「消費」「環境」「高齢化」の3つがキーワードになる。

数年前から注目されている中国の消費だが、今のところやや盛り上がりに欠けている。汚職腐敗撲滅運動が積極的に転嫁されたことで、富裕層の高額消費は落ち込んでいる。一部の大都市では大型小売店が過当競争となり撤退した店舗も少なくない。

しかし、中間所得層の厚みは着実に増している。生活必需品では、よりおしゃれな衣料、より安全な食品、より高質な家具を求めるようになってきた。レジャー関連への支出を増やす若者が増えており、サービス支出がシェアを上げている。厳しい競争で鍛え抜かれた日本式サービスは、厳しい反日感情とは裏腹に中国でも高い信頼を得ており、13.6億人の人口を抱える中国には大きなチャンスが眠る。

環境ビジネスも注目される。大気汚染が深刻な中国では、空気清浄機が爆発的に販売を伸ばし、品質面でも信頼の高い日本製品は人気化した。大気汚染を解決するには、環境技術を得意とする日本企業にはチャンスとなる。大気汚染に限らず、飲料水や食品の汚染、下水・産業廃棄物・生活ゴミなどの処理、循環社会のエコタウン建設など、中国では環境関連のニーズが多い。

高齢化に関するビジネスも注目である。中国では現役引退が視野に入る55歳以上の人口が多い。高齢化は成長率を鈍化させる要因ともなるが、新しいニーズの源でもある。介護サービス付き老人ホームなど施設に対する需要が増えるだけではない。寝たまま入浴できる装置や筋肉の衰えを補う装置などのモノ、衛生管理や健康管理などサービス面でも、日本には中国で役立つモノやサービスの蓄積がある。

今こそ日本の経験が生きる・・・

この数年で元高・円安が急速に進んだことも、中国でモノやサービスを販売する上で追い風となる業種が多いだろう。3年前には中国に持ち込んでも値段が高すぎて人気の出なかったモノやサービスでも、今の中国では安いと感じる人が増えた可能性が高い。

以上のように、消費、環境、高齢化に関連する中国ビジネスでは、日本の過去の経験が生きることが多い。日本企業に優位性がある分野であり、日中関係の改善や元高・円安も追い風となる。

 

<エコノミスト>

減速中国を襲う4大リスク・投資低迷、バブル懸念、国有企業・・・

7%台の巡航速度に入った中国経済、大きな波乱は見えないが死角はある

(金森俊樹・元大和総研常務理事)

2014年の中国経済は減速傾向が顕著だったが、最大の懸念である雇用創出は年間目標の1000万人を達成し、習政権は改革推進への自信を強めているように見える。しかし、15年を見渡すと、投資の低迷、金利の高止まり、不安定な株式市場、進まない国有企業改革・・・という大きな死角が見える。

14年の成長率鈍化の大きな要因の一つに不動産投資の減速がある。ここ数年2030%の伸びは12%程度へと大きく減速した。中国のGDPの約5割を占める固定資産投資は、産業能力増強が5割、基礎インフラが3割、不動産が2割を占める。投資の減速を抑えるべく中国では地方の都市化を進め、そこに周辺農民を移転させる政策を進めている。しかし、住宅や土地使用権を失う農民の懸念が強く、社会保障と一体の戸籍改革が進まないなかで、農民の都市移住の意欲は弱い。そもそも、急速な高齢化の進展で、住宅市場は需要超過から供給過剰局面へと構造転換している。つまり不動産投資の低迷は長引くことが予想される。

基礎インフラ投資の増加も期待し難い。実行を担う地方政府の税収や土地譲渡収入が、景気減速や不動産の低迷で伸び悩んでいるうえ、債務の償還期限がピークを迎えるからだ。さらに、中国政府によるシャドーバンキングや地方債務リスクへの締め付けで、地方政府が大きく依存していた投資子会社「融資平台」からの資金調達の道を閉ざし、地方にリスクの厳格な管理を求めていることも影響しよう。

こうしたことから、15年の投資の伸びは、14年の16%から15%を切る可能性もある。政府は戸籍改革や所得格差の是正などを通じ、消費を中心とした内需主導の成長パターンへ転換しようとしているが、消費が短期間で投資の落ち込みをカバーするほど急増するとは期待し難い。

 

中国当局は、もっぱら限定的で的を絞った景気刺激策を取ってきた。しかし、その結果、景気の減速傾向が強まった。金利も高止まりし、多くの新興・中小企業から「融資難・融資貴(高い)」との声も高まった。そこで11月、基準金利引き下げを発表、金融緩和の方向を鮮明にした。市場では今後、再度の利下げや準備率引き下げによる量的緩和があるとの声が高まっている。

景気が減速しているにもかかわらず、資金需要が強いのは、設備過剰を抱えた非効率な国有企業や地方融資平台などが、予算を超えても容易に資金を補填できる「緩い予算制約」の下で、資金を吸収し続けることが大きいのである。

このため、成長の原動力となる、中小・ベンチャー企業に必要な資金が回っていかない。こうした状況を改革していかなければ、さらに金融緩和をしても、その効果は限られたものになる恐れが強い。

 

11月後半以降、中国株式市場では株価が高騰、人民銀行の利下げを契機として、金融緩和への期待が膨らんだことが大きい。ただ、その背後には、09年から実施された4兆元の景気対策後のマネーの動きに変化がある。4兆元の効果でまず不動産市場や高金利・高リスクの信託商品などへ資金が向かい、株価が長期に低迷。しかし、13年以降、当局が金融リスク抑制のため、不動産バブルや影の銀行拡大を抑える過程で、次第に株式市場へ資金が戻る「金融資産の再移転」が起きているのである。

ただ実体経済は弱く、企業業績もさほど改善していないなかで、資金の再移転が起きている株価の急騰は短期的に危うい面がある。

 

14年は鉄鋼、セメントといった業種で、稼働率は「深刻」とされる70%をきった。設備の過剰が生じる背景として、景気循環要因と構造・体制要因が考えられるが、中国の場合は構造・体制要因が無視できない。地方政府や国有企業は、財政収入、政治的業績、役人の昇進等のため、投資拡大に強い動機がある。設備の過剰が著しいん基幹産業では国有企業が多く、非効率でも税収、雇用、社会安定への影響を考え、地方政府がつぶさない。国有化の程度が高い産業、国家の管理が厳しい産業ほど設備過剰が深刻である。ゾンビ化した国有企業の改革が進まなければ、景気を刺激しても、過剰設備問題は容易に解消せず、能力増産投資も盛り上がらない悪循環になる恐れがある。

 

当局はこれらの問題を認識しているからこそ国有企業改革を進めようとしている。12月に開かれた翌年の経済運営を議論する会議でも、成長率目標を引下げ、改革を推進していく方向が検討された。

15年は改革と成長を二者択一的に捉えるのではなく、「改革が景気対策の効果を高めることにもなる」という視点が一層必要になってくる。

 

(D)為替

<エコノミスト>

円安進行後、米株安で円高に転換

(亀岡裕次・大和証券チーフ為替アナリスト)

2015年前半は最大で125円程度までドル高・円安が進展すると見ている。

世界的な景況感改善と低インフレ・低金利を背景としたリスクオン志向の下で円安に振れやすいと見る。また欧州中央銀行の追加緩和がユーロ安に働く一方で、相対的に経済が好調な米国はドル高に働く余地も残る。

年央には米国でインフレ期待と金利の上昇から株価が下落に転じ、リスクオフの円高に転じるのではないか。原油安による採算悪化で米シェールオイル生産が鈍化すると、原油価格とインフレ期待の低下は止まる。さらには、米国の失業率低下が進んで賃金上昇率が上がり始めると、インフレ期待と名目金利が上昇する。米金利上昇により株価の割高感が強まり、株安に転じるとともに円高に転じやすいだろう。

増税先送りで日銀の国債買い入れは財政のファイナンスと見なされやすくなったので、日銀は追加緩和策に消極的となろう。物価目標2%引き下げを検討するようにでもなれば、追加緩和期待の後退が円高に働く。円安効果と原油安効果で日本の貿易収支が黒字に転換し、海外から円安を見る目が厳しきなることも考えられる。年後半は110円近くまで円高が進む可能性もある。

 

OPEC減産見送りが円安を後押し

(斎藤裕司・クレディ・アグリコル銀行外国為替部エグゼクティブディレクター)

OPEC総会で11月下旬、原油減産が見送られた。この決断が15年もドル高・円安を進展させることになる。原油価格の下落は最大の消費国である米国経済の成長を後押しすることに加え、最大の輸入国である米国の貿易赤字を減少させる力にもなる。米国の貿易赤字が減少すれば、米ドルが買われるのは必然である。

一方、日本に対する影響として、日本の貿易赤字を拡大を防ぎ、日本経済復活を後押しするメリットがある。その半面、目先の物価押し下げ要因となっており、2年で2%程度の物価目標を掲げる日銀に対する「追加緩和期待」が市場で強まってこよう。

 

際立つ強いドル、16年に130円も

(田中泰輔・ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)

世界の市場参加者は、10月31日の日銀の追加金融緩和と年金積立管理運用独立行政法人の新資産配分の協調発表によって、円安の加速と持続を強く印象付けられた。連立与党は衆院選で大勝し、アベノミクスもまた継承され、円安の流れを更に補強する公算だ。

日本側要因をドル高・円安の副エンジンとすれば、主エンジンの米国経済もまた来年3.5%成長と堅調で、FRBの利上げ模索とともに、ドル買いムードを強化しよう。

投資物色難の状況下で、「強いドル」ベースの国際投資家の間では、買いポジションを作るとき、円売りとセットにする戦略・戦術が広く採用され続ける見込みだ。ドル・円の15年末の予想は125円で、ドルの上昇トレンドは16年に130円へと続くと見ている。

 

<東洋経済>

「リスクオン」が続き1ドル=130円まで下落も

日銀の追加緩和観測も円相場の下押し圧力に

 

<ダイヤモンド>

米利上げで一層のドル高円安、15年末には120円台後半へ

アンケート回答者9人の年末値予想は、最も円高なものでも1ドル=123円と、現状より円安の水準である。

 

(E)流通

①専門店

<日経ビジネス>(大竹剛・日経ビジネス)

消費増税後の「勝ち負け」が鮮明に・高付加価値路線、ネット通販強化に活路

*消費増税後の価格戦略は高付加価値化に軍配

*ネット通販強化に向け大型物流センターを構築

*家電量販は格安スマホや訪日外国人などに活路

ニトリHDは消費増税を機に価格戦略を見直した。これまで安さが武器だったが品質を高めた高付加価値の商品を投入し、大塚家具やイケアといった中高級店から顧客を奪取する戦略を打ち出した。2014年3~8月期の連結純利益は前期比24%増となり、消費増税後の反動減も克服して過去最高を記録した。良品計画も高級感のある商品の投入などで2014年3~8月期の連結純利益は前期比6%増と過去最高を記録した。

一方、低価格で成長してきたしまむらは、増税後に実質的な値下げを実施して消費を喚起しようとしたが裏目に出て、2014年3~8月期の純利益は前期比13%減となった。欧米のファストファッションブランドの人気も高まっており、競争が激化している。

物流再構築で通販を強化・・・

家具やアパレルなどの専門店では、大型の物流センターを構築してネット通販を強化する動きも活発になっている。

ファーストリテイリングは大和ハウスと共同で有明に大型物流センターを構築すると発表した。即日配送などネット通販の利便性を高めるほか、店舗の在庫管理業務を一部移転するなどして、物流の効率化を図る。国内に10か所ほどのセンター構築を計画している。

成長の道筋を描き切れないのが家電量販店だ。薄型TVの後の目玉商品の不在、ネット通販との競争も激化し、ヤマダ電機など郊外型店舗の多い企業の苦戦が目立つ。各社は格安スマートフォンを投入したり、訪日外国人を取り込むための免税売場を拡大したり、知恵を絞っている。

 

②百貨店

<日経ビジネス>(日野なおみ・日経ビジネス)

外国人観光客が救った増税後の反動・アジア進出で試される各社の実力

*増税後の回復が遅い地方店舗を立て直す

*外国人観光客需要をどう取り込むか

*アジア進出では実力が試される

2014年、百貨店業界は消費増税に振り回された年だった。増税直前の百貨店は宝飾品や海外高級ブランドなどの高額品が売れ、3月の売上高は25%増に達した。その後は特需の反動で落ち込み、増税後10月まで、売上は前年比を割っている。

こうした中でも大手各社は健闘した。三越伊勢丹HDは2014年4~9月期の連結業績は減収減益だが、コスト削減や仕入の構造改革などを進め、2015年3月期の営業利益を1%増に据えて、4期連続の最高益を狙う。Jフロントリテイリングも2014年3~8月期の連結営業利益は前期比102%と最高益を更新した。H2Oリテイリングは2014年4月~9月期の連結営業利益が前年比35%増を記録し、高島屋も2015年2月期の連結営業利益を上方修正した。各社とも地方店舗は回復していないが、都心店舗は富裕層などが高額品を買い求めているため回復基調にある。

もう1つの追い風が、外国人観光客だ。9月に日本政府は東南アジア諸国に対してビザの大幅緩和を実施し、10月には免税対象商品を拡大した。百貨店には外国人観光客が詰めかけ、三越銀座店では売上の約1割を外国人観光客が占めるという。

外国人の取り込みが活性化する。高島屋は14年12月から新宿店と大阪店を対象に、両店の免税カウンターから、直接空港に商品を配送する。商品を持ち帰る必要がないので、まとめ買いを促す。

2015年秋には三越伊勢丹が日本空港ビルや成田空港と共同で、三越銀座店に1000坪の空港型免税店を開く予定だ。空港型免税店では消費税だけでなく、関税や酒税、たばこ税も免除される。

韓国のロッテ免税店も、2015年下期には銀座に都内最大の空港型免税店を開業する。外国人観光客を巡る競争はさらに熾烈になるだろう。

アジアの経済成長を取り込むべき、改めて海外戦略に力を注ぐ百貨店も増えそうだ。2015年1月には上海にJフロントリテイリングが現地の新世界百貨と組んで出店予定、H2Oリテイリングも2018年春に寧波に出す。高島屋は2016年を目途にホーチミンに、2017年にバンコクに出すなど、百貨店大手は積極的にアジア攻略に乗り出す。

 

<東洋経済>(編集部)

外国人と富裕層頼み・円高転換あれば波乱

内需に依存してきた百貨店業界が、最近では「外需」の取り込みに成功しつつある。

外国人観光客はビザ発給要件の緩和や円安効果もあって増加。14年10月には消費税が免除される免税品の対象が消耗品(食料、飲料、薬品、化粧品)まで拡充された。

国内の富裕層も消費を牽引している。地方の売上は厳しいが、都心、中でも富裕層が集まる銀座は別格の強さを見せている。

 

免税に関しては、大丸・松坂屋は13年度の免税売上は61億円だったが、14年度は106億円を計画している。15年度も確実に伸びそうだ。もっとも、全体に占める割合は1%台とまだ低い。欧州の百貨店では観光客向け売上が3~5割に達するところもあり、日本での免税ビジネスは緒に就いたばかり。

富裕層の売上も好調を持続しそうだ。銀座松屋では、円安で値上がり傾向にある高級インポートブランドが急拡大している。その背景には、株価の上昇がある。富裕層の消費行動は、株高などの資産効果に大きく影響を受けるからだ。一方、元気がないのが、国内ブランドのキャリア女性向け衣料だ。キャリア女性の場合は、資産効果よりも実質所得の動向がより重要であり、消費増税がダイレクトに響いたと考えられる。

 

好調店舗は、東京都心に限らない。大阪はUSJの集客効果が波及し、海外観光客が京都を訪れた際に大阪にも立ち寄る「買い回りルート」も確立され、大阪商圏全体が活性化している。景気が持ち直してくれば、首都圏以外の大都市でも増収基調に転じる可能性がある。

15年に懸念があるとすれば、その確率は高くはないものの円高、株安へと相場トレンドが転換することだろう。円高、株安になれば、観光客と富裕層の消費に同時にマイナス影響が及ぶ。消費増税は延期されたが、苦戦を強いられるかもしれない。

 

③スーパー

<日経ビジネス>(中川雅之・日経ビジネス)

総合スーパーは抜本改革へ・都市と地方に格差、再編機運なお

*イオンなど総合スーパー改革は進むか

*新たな消費スタイルに合う店舗運営ができるか

*増税先送りで一息も、厳しい生き残り競争続く

スーパー業界は一様に語れる状況にない。首都圏の食品スーパーは堅調だが、総合スーパーは苦戦。また、地方では業績が低迷する企業も目立ち、生き残りをかけた業界再編の綱引きは収まりそうもない。

「スーパーは今の消費者の嗜好に合っていない」とイオンの岡田社長は10月の記者会見で述べた。ダイエーを完全子会社化し、さらにグループのスーパー事業を5つの新型店に再編することを発表し、再生に向けた覚悟を見せた。イオンは今、正に正念場にある。14年上期の連結決算は、営業利益が前年比41%減少、総合スーパー事業だけを見ると131億円の営業赤字だ。

総合スーパーが苦戦しているのはイオンだけではない。イトーヨーカ堂の14年上期は天候不順などが響き営業赤字に転落。村田社長は抜本的な改革の必要性を説く。

その一方で、首都圏の食品スーパーは堅調だ。ライフは2014年度の通期業績見通しを2度も上方修正し、ヤオコーも消費増税後の5月以降、既存店売上高が5%前後上回る状況が続く。

総菜売り場やイベントスペースの強化で、コンビニに流れていた「中食需要」を奪還する例が出始めている。ただ、コンビニもローソンが成城石井を買収するなど、有望企業には食指を伸ばす。

だが、地方に目を転じると風景が異なる。人口減や高齢化に加え、株高や賃金上昇といったアベノミクスの恩恵を十分受けられず消費は低迷。安価な品ぞろえをするディスカウントストアへの顧客流失リスクは増している。消費税10%への引上げは先送りされたが、経営環境は好転していない。

 

<東洋経済>(編集部)

イオンが仕掛ける首都圏スーパー再編

GMS各社は衣料品を中心に苦戦を強いられている。

そうした中で注目されるのはイオン。同社は15年に入って3つの大型M&Aを実行する。1月にダイエーを完全子会社化するのに続き、首都圏地盤のSMであるマルエツ、カスミを3月に経営統合、DR大手のウェルシアホールディングスも傘下にする。少額出資による「緩やかな連帯」を進めてきたが、ここにきてグリップを強めるのは中核のGMSが曲がり角にあるからだ。

イオンは14年上期の連結売上高は前期比15%増だったが、営業利益は同41%減と大幅に減少した。イトーヨーカ堂も上期は営業赤字に転落、ユニーも上期営業利益は6割減となった。

ただ、地方中心に展開するイオンの苦戦ぶりは際立っている。首都圏を地盤とするグループのSMは比較的堅調に推移しており、今回の再編劇も「都市シフト」を進める一環で起きた。

ただイトーヨーカ堂やユニーも首都圏中心に小型スーパーを増やしており、激突は避けられない。さらに惣菜などを充実させているコンビニとの競争も過熱していくだろう。

 

イオンは今後もM&Aを積極的に仕掛けていくだろう。首都圏におけるスーパー連合については各社にも声をかけており、出資するいなげややベルクがどう出るかも注目される。今のところ連合に入る動きはないが、決断を迫られる時が来るかもしれない。

また、SM最大手のライフとPB商品などで提携するヤオコーは、資本提携に発展する可能性もある。

 

④コンビニ

<日経ビジネス>(中川雅之・日経ビジネス)

セブン独走、焦点は異業種競争・消費減退で顧客のスーパー流失も

*セブンと他社の収益力の格差は縮まるか

*異業種との競争や連携がさらに活発に

*支出抑制が強まれば、逆風に

コンビニ業界の中で見れば、2014年は優勝劣敗が従来よりもさらに鮮明になった年だといえる。

最大手のセブンイレブンの既存店売上高は2014年3~8月期に前年比2.6%増えた。一方、2位のローソンは1.0%減、3位のファミリーマートは1.5%減となった。ファミリーマートは2014年度通期見通しの下方修正を余儀なくされた。サークルKサンクスは、親会社のユニーが同業他社への売却を検討しているとの観測が流れ、ユニーは直ちに否定したが、その後もローソンがポプラへの出資を決めるなど、再編機運は高まっている。

消費増税がコンビニに与える影響は少ないとの見方が大勢を占めていたが、増税による消費行動の変化は、着実にコンビニもむしばんでいる。コンビニ業界の既存店売上高は14年4月以降7ヶ月連続で前年実績を割り込んだ。反対に、スーパーマーケットの既存店売上高は5月以降で前年比プラスを維持。「財布の紐を締め始めた客が、コンビニからスーパーに流れている」との声が上がる。

2014年後半からの景気失速が続けば、食品スーパーなどに比べ高価なイメージが付きまとうコンビニには逆風となる。

ただその圧倒的な店舗網を生かしたいと考える異業種があるのも確か。アマゾンがローソンと提携し、コンビニでの受け取り・注文ができることを喧伝したことはコンビニに拠点としての魅力があることを示す。

ファミリーマートは外食やドラック、カラオケ店などと共同店舗を開発。食品スーパーも相次ぎ小型業態を開発しており、コンビニのような「近接小型店」は今後も確実に進化していくだろう。

 

<東洋経済>(編集部)

セブンの一人旅続く・異業種提携も加速

消費増税は業界内の実力を鮮明にした。安売りではなく、利便性で勝負する分、増税の影響は大きくないと考えられていたが、消費者の購買意欲の低下は深刻で、大半のチェーンが影響をうけた。

1店当たりの売上高で唯一堅調なのは、首位のセブンイレブン。商品の大幅リニューアルによる需要喚起に成功した。苦戦する2番手以下には目もくれず、さながら一人旅の状況となっている。

 

コンビニ業界では上位5社の合計だけで、ここ3年ほど毎年2000店以上店舗数が増えている。15年も大手を中心に熾烈な出店競争が続く。

もう一つ、将来を大きく左右しそうなのが、ネットとの融合加速だ。通常コンビニには3000種ほどの商品しか置けないが、ネットを活用すれば何百万もの商品を売ることができる。セブン&アイは15年秋からグループ各社の商品をネットで注文し、セブンの店頭で受け取れる体制を整えていく。ローソンでも、一部の店舗で始めたアマゾン商品の店頭受注サービスを順次拡大していく。

 

店舗数の増加により1店当たりの客数が減少傾向にある中、新たな客層の開拓は至上命題だ。そこで異業種の買収や提携がさらに増えていくことが予想される。13年にはセブンがニッセンなどを、14年にはローソンが成城石井を買収した。ファミマも外食や薬局との合体店を増やしている。今後もその流れは変わらない。

一方、同業内での再編は一服感がある。業績不振が続くサークルKサンクスが他社との合併を模索しているという観測が浮上したが、実現の可能性は低いだろう。

⑤流通

<ダイヤモンド>(大矢博之・ダイヤモンド)

コンビニの“御用聞き”が本格化・キラー商品が勝負を分ける

「贈り物ならこちらの商品がおすすめですよ」そう言って、コンビニの店員が差し出したのはタブレットの端末。画面には百貨店にしかない高級化粧品が表示される。しかも、店員が営業トークを繰り広げる場所はコンビニの店舗ではなく、顧客の玄関先である。セブン&アイが推し進める「オムニチャネル」戦略が15年秋に本格的にスタートした暁には、こんな光景が日常になるかも知れない。

「オムニチャネル」とは、店でも家でも移動中でも、あらゆる場所を売場にする概念だ。

店舗の垣根がなくなっていく時代に、セブンの強みは百貨店や高級雑貨、文具、乳児用品と幅広い業態を持つ店舗をグループ内に抱えていること。品数が約3000点に制限されているコンビニの弱点も自前で解消できる。

 

購入点数が増加し客単価も5倍に・・・

オムニチャネルのもう一つの肝は、ネットに不慣れな高齢者のために、店員が自宅まで出向いて注文を受ける“御用聞き”だ。コンビニの客単価は約600円だが、セブンの実験では御用聞きをした場合、約3000円になった。購入点数が増え、高級なものを選ぶからだ。グループ30万人の販売員の接客力を武器に、あらゆる商品をあらゆる場所で販売する。これが、セブンが描く未来の小売の姿だ。

御用聞きサービスはローソンも15年から本格化させる。アマゾンとの協業を発表したローソンは、数千万点ものアマゾンの商品をローソンで注文可能にする。狙いの一つは、御用聞きで扱う商品の幅を広げることだ。ローソンは15年夏までにさらに2社と協業する方針で、メーカーなど独自の商品を持つ企業と見られる。

幅広い商品を自前で持ち、PBに自信を持つセブン。オープン戦略を取り、品揃えを強化したいローソン。御用聞きの本格化で、客を引き付けられる“キラー商品”をどれだけ集められるかが勝敗のカギを握りそうだ。

 

 

(後記)

例年の通り、今年も各経済誌の「2015年予測」をまとめて年末を迎えることができる。

「日経ビジネス」はタイトルを「2015年徹底予測」とするが、インド経済やアフリカ経済を記しているが、どのような理由からか日本経済や為替などの記載がない。代わりに今年1年のスケジュールが8ページわたり掲載され、これが日本経済に代わるもののようだ。また、巻末に昭和21年から平成26年11月までの歴史年表(政治・経済、社会・世相)がつき、個人的に役立たせている。

「週刊エコノミスト」は2週にわたり、日本編と海外編を発行する。アベノミクスや日銀の金融緩和策に対し疑問を投げかける論調が多いようだ。

「週刊東洋経済」と「週刊ダイヤモンド」は22日の発行で、このレポートには時間の関係で多くを書くことができない。両社共に書かれている範囲は広く、多くのアナリストによる比較表や図表、著名人のインタビュー記事等幅広い。それぞれ、特徴があり参考にされたい。

英国の「The Economisut」誌は毎年「The World in」を発刊し、日本語版も出していたが昨年は出版社の都合で見送られた。今年は2015年版を日経PB社から出版された。日経PBによると、日本についての記述もあったが、総選挙実施が決まる前に執筆されたため割愛したとある。英エコノミスト誌はアベノミクスにも日銀の金融緩和にも懐疑的なので、選挙前に発表しにくかったのかもしれない。日経ビジネスも含めて、不満が残る編集だ。本誌は国別の状況、産業など読みごたえがある。

(今回は、日本経済、米国経済、中語経済、為替、流通に絞ってまとめたので、欧州経済や株価等の他の分野は本誌を購入頂きたい)

 

2014年は日清戦争から120年、日露戦争から110年、第1次世界大戦から100年という年であった。ニューズウィーク日本語版12月23日号には「激動と希望の2014年を振り返る」の特集が掲載された。エボラ出血熱が西アフリカで猛威を振るい、中東では新たなテロ組織が暗躍し、経済成長のひずみが各地で噴き出し始めたとある。大戦争はないが、各地で紛争は起き、世界を揺るがす。ウクライナ、ISIS、ナイジェリアのボコ・ハラム、タイのクーデター、香港の雨傘革命など毎号紛争のオンパレードだ。

また、地球温暖化が理由なのかは別にして、自然災害も世界を覆う。

こうした中で、日本は台風や大雨、火山噴火などの自然災害はあるものの、なんとなく良かった国であったような気がする。

 

予想は想像力を活かし、考えを推し測るものだが、予測はある根拠(与件)をもとに推し測るものである。予測する与件は、ある程度想定できるのもあれば想定外のものも多くある。そして、世界には想定外の出来事が日々起きている。原油価格が1年で5割近くも下がることも、円がここまで下がると予測した人もいなかった。

2015年予測も確実なものではない。想定外の事態が起きて、原油価格が上昇したり、円が高めに動いたりすれば与件の前提条件が全て狂ってしまう。しかし、2015年がどのような年になるのかを考えるのは企業人として必要なことだ。このレポートが参考になれば幸いである。

 

来年は2015年、ニューズウィーク日本語版12月30日号は2015ISSUESを特集し、「不安の時代」は2015年も続くとした。

日本にとっての2015年は、終戦から70年の節目の年となる。戦後レジームからの脱却を訴える安倍政権のもとで、どんな行事を行うか不安はあるが興味は尽きない。

日本は敗戦記念日とは言わず終戦記念日というが、中国・韓国では戦勝記念日となる。中国・韓国の2015年は戦勝「70周年」として多くの行事が計画されている。

特に中国では9月3日の「抗日戦争勝利記念日」(日本が降伏文書に調印した日)を、反ファシズム戦争に勝利した日として、韓国やロシアを巻き込んで「世界反ファシズム戦争と中国人民抗日戦争勝利70周年」開催を大々的に行う予定だ。

中韓の記念行事が抑制的なものになるか、国内事情から強硬な反日になるかは定かでないが、少しずつ良い方向に向かい始めた関係が悪化することを恐れている。日本も自制的で冷静な対応が求められる。

予測の与件にこの問題は含まれていないが、問題の火種であることは間違いない。

安定した自公政権のもとで、2015年を「不安の時代」から「平穏な時代」にしてほしいものだ。

 

来年は未年である。未は、まだ熟しきらない成長途上の植物を表すといわれる。成長途上のアベノミクスが、早く日本経済を立て直すことを期待したい。

また、群れを成す羊は家族の安泰を示し、いつまでも平和に暮らすことを意味しているといわれる。

皆様の来るべき2015年が良い年であることをお祈りいたします。

今年1年ありがとうございました。

 

以上