レポートNo136 2014.12.12  <倉林 勝>

平成25年度電子商取引に関する市場調査

経済産業省・商務情報政策局が発表する「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備」報告書から「BtoC-EC市場」を抽出しまとめる。

日本のBtoC-EC市場規模は11兆2000億円となり、前年から17.4%増加した。特に、衣料・アクセサリー小売業、宿泊・飲食小売業、医薬化粧品小売業は20%以上の高い伸びを示した。


<サマリー>

①全体動向

日本のBtoC-EC市場規模は11兆2千億円となり、前年比17.4%の増加となった。

また、ECの浸透度合いを示す指標であるEC化率についても3.7%となり、前年から0.6pts上昇した。

②業種別動向

2013年は、ほとんどの業種で前年に比べて市場規模が拡大した。特に、衣料・アクセサリー小売業、宿泊小売業・飲食小売業及び医療化粧品小売業においては、対前年比で20%以上の高い伸びを示した。

③消費者向け越境EC(Cross-Border Shopping)市場規模

2013年度において、中国の消費者が日本事業者のECサイトから購入した金額は3092億円、米国事業者のECサイトから購入した金額は4171億円となっており、日米中3ヶ国の消費者向け越境EC市場の中では、中国の消費者の購入金額が最大の規模となっている。

2013年の国内BtoC-EC市場規模は、11兆1660億円(前年比117.4%)、EC化率は3.67%となった。EC化率は前年から0.56pts上回っている。

業種分類別で市場規模が大きいのは、「情報通信業」2兆6970億円(構成比24.2%)、「総合小売業」2兆2000億円(構成比19.7%)、「宿泊・旅行業及び飲食業」1兆8260億円(構成比16.4%)などで、構成比の順位は前年から変化はない。

市場規模で前年比20pts以上の高成長率であったのは、「衣料・アクセサリー小売業」が前年比25.8pts増、「宿泊・旅行業及び飲食業」が前年比22.1pts増、「医療化粧品小売業」が前年比20.4pts増である。

*業種分類の対象業種

総合小売業⇒百貨店、総合スーパー、コンビニエンス、ホームセンター、通信販売業

衣料・アクセサリー小売業⇒呉服・服地・寝具小売業、男子服小売業、婦人・子供服小売業、靴・履物小売業

食料品小売業⇒各種食品小売業、酒小売業、食肉・鮮魚・果実小売業、菓子・パン小売業

自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品小売業⇒自動車(新車)小売業、中古自動車小売業、自動車部品・付属品小売業、二輪自動車小売業、自転車小売業、家具・建具・畳小売業、その他の什器小売業、電気機械器具小売業、電気事務機械器具小売業

医薬化粧品小売業⇒医薬品・化粧品小売業

スポーツ・本・音楽・玩具小売業⇒書籍・文房具小売業、スポーツ用品・玩具・娯楽用品・楽器小売業

宿泊・旅行業、飲食業⇒一般飲食店、遊興飲食店、宿泊業、旅行業

娯楽業⇒映画館、興業場、スポーツ施設提供業、公園、遊園地

情報通信業⇒通信、放送、情報サービス、インターネット付随サービス、映像・音楽・文字情報制作業

 

(B)BtoC-EC市場動向

①総合小売業

商業販売統計によると、小売業の販売額は2013年で約138兆8970億円の規模である。2012年からは前年比101%であるが、規模としては横ばいに近い状況である。業種別では、百貨店・総合スーパーの売上が減少傾向にある一方、コンビニエンスストア、ドラックストアとならび通信販売業(EC含む)が増加傾向にある。

日本の通販市場では、インターネット通販系では楽天や外資系のAmazon、カタログ通販系では、ニッセン、千趣会、ベルーナ、テレビ通販系ではQVCジャパン、ジャパネットたかた、オークローンマーケティング(NTTドコモ資本参加)などの事業者がサービスを提供する。

インターネット通販以外の、カタログ通販系・テレビ通販系などの市場でも、インターネットチャネルでの販売額は年々上昇傾向が続いており、事業者にとってEC(ネット)戦略は非常に重視されている。

百貨店、総合スーパー、CVS、ドラックストアといった実店舗での販売をメインとしてきた市場においてもEC売上比率は上昇傾向にある。これらの業種は、通販系市場と比較してEC対応は遅い事業者もあったものの、前述のとおりインターネット通販系市場の拡大とともに総市場規模が縮小傾向にあるなか、近年ではEC化率向上を優先事項として取り組む事業者も増加してきた。

 

*Amazonはインターネット通販分野のプラットフォーマーとしては、非常に大きな存在感になっている。同社の日本での売上高は2013年で前年比97.9%の7639億円と公表している。なお2011年から2012年にかけては前年比119%で売上高は成長している。サービスは、直販型のほかマーケットプレイス型でも提供する。

 

*楽天は、グループ内に他業種のEC関連サービスを抱えるが、「楽天市場」にてマーケットプレイス(モール)型中心のプラットフォーム事業を展開する。同社のプラットフォームには、独立型の小売店だけではなく、百貨店・ネットスーパーや自社ECチャネルを持つ通販事業者の多くも参入している。同社は、楽天市場を含むEC関連サービス全体の2013年の流通総額を1兆7335億円と公表している。2013年4Qは前年同期比で123%の成長率であった。

 

*千趣会は、カタログ通販大手の1社である。同社の2013年度の通販事業の売上高は前年比97%の1264億9800万円であった。ただし、インターネット売上高のセグメントで見ると、前年比102.1%の814億円と増加基調にある。中でもスマートフォン売上高は前年比231%の180億円と急成長している。伝統的な通販事業者においても、ECチャネルが成長分野であり、スマートフォン対応が重要な戦略となっている傾向がうかがえる事例である。同社のジャンル別の売上高としては、衣料品が最も比率が高く、インテリア、生活雑貨、服飾雑貨と続く。

*百貨店の高島屋は、従来EC事業は独立して戦略を立てていたが、近年は全国に拠点がある店舗を活かしたオムニチャネル戦略に力を入れている。ジャンルとしてはギフト分野の強みを活かし、ネット経由でのギフト需要の獲得に注力している。ECでの売上だけを見るのではなく、店舗・PC・スマートフォンなどタッチポイントを増やすことで、全体の売上増を図る方針である。またファッション分野でも「SELECT SQUARE」を買収するなど、サービスの拡充・シナジーを強化している。同社は2013年3月にサイトのスマートフォン最適化を行ったが、以降スマートフォンチャネルの需要が急成長しているとのことである。

 

②衣料・アクセサリー小売業

衣料品関連市場は全体的に微増傾向にある。国内アパレル総小売市場規模は2012年で前年比101.3%の9兆1645億円と推計されている。品目別では、婦人服・洋品市場が前年比101.1%の5兆7500億円、紳士服・洋品市場が前年比102.0%の2兆5185億円、ベビー・子供服・洋品市場が前年比100.1%の8960億円という規模である。

アクセサリー関連として、2012年の国内宝飾品小売市場規模は前年比101.8%の9110億円と推計される。

 

衣料品における主要チャネルは、百貨店、量販店、専門店(紳士服専門店、婦人服専門店など)、通信販売などである。宝飾品販売における主要チャネルは、宝飾専門店、百貨店、通信販売(EC含む)、呉服チャネル、買取・リサイクルチャネル、訪問販売などである。

衣料品、宝飾品とも、消費者から素材やフィッティングなどが重視される傾向が強く、従来は実店舗が主要な販売チャネルであったが、近年は通信販売、特にECチャネルは多くの事業者が注力するチャネルになってきている。その背景として、デバイス・インフラの性能・機能向上による好影響をポイントとして挙げる事業者もある。高解像度の画像や動画などで商品の詳細情報を提示できるようになったため、消費者がECで商品を比較・購買するストレスが軽減され、ECでの売上増に繋がっているとの分析である。広告分野においても、ファッション系ブランドによる動画広告への投資が増加傾向にある。

ワールドによるファッションウォーカーの買収、楽天のスタイライフ子会社化、高島屋によるセレクトスクエアの連結子会社化など、ファッション通販モールの買収・子会社化の動きも活発化している。

 

*スタートトゥデイは、アパレル分野のECサイト「ZOZOTOWN」を運営する。同社の2013年3月期の売上は350億5000万円と前年比110.2%であった。2014年3月期3Qは前年同期比110.8%となっており、堅調に成長している。

同社は2013年10月より新サービス「WEAR」の提供を開始した。WEARは著名人や消費者がファッションコーディネートを投稿・SNS機能で共有したり、アイテムの管理などのクローゼット機能、また購買までの導線も提供するなど、オムニチャネル展開の支援も目指したサービスである。サービス開始時点で200ブランドが参加し、2014年2月時点でのアプリのダウンロード数が100万を超えた。PCによるECだけでなく、スマートフォン、マルチデバイスでのECの潜在需要の高さをうかがわせる事例である。

 

③食料品小売業

食料品小売業は、市場全体としては横ばい傾向にある。たとえば、加工食品市場規模は、2011年度で前年度比99.9%の29兆6900億円、2008年度以降前年度比9899%と微減傾向であり、2013年度もこの傾向は続いていると推測される。ただし、高齢者対応食品市場など分野によっては堅調に成長している市場もある。

また、健康食品市場規模は、2013年度で前年度比100.3%の7113億円と推計されている。今後も人口高齢化の進展や消費者の健康への関心の高まりを背景に、健康食品市場は堅調な推移が予測される。

 

加工食品販売における主要チャネルは、店頭(量販店、食品スーパー、CVSなど)、通信販売(EC含む)である。圧倒的に販売比率の高いチャネルは店頭ではあるが、近年通信販売チャネルが成長している。食品の通信販売分野では、従来は産直品やギフト、取り寄せなどが主流であったが、日常食品にまで需要が拡大基調にある。

ネットスーパー系サービスや食品宅配サービスも増加している。ネットスーパーを含む食品宅配総市場規模は2012年度で前年度比103.9%の1兆8078億円と推定される。同市場の成長要因には、高齢人口の増加、女性の社会進出定着による家事時間の短縮、生活スタイルの多様化による個食化の進行、昨今の国内不況による外食離れ、家庭内調理による食事(内食)志向の強まりなどが挙げられる。宅配分野では高齢者向けの在宅配食サービスも成長分野である。また、ネットスーパー宅配は、総合スーパーマーケットなどが取扱店舗を拡大させたことで会員数を大幅に伸ばし、市場拡大に貢献している。食品分野は、市場全体は横ばいから微減傾向にあるが、EC市場規模は堅調に成長基調にあるといえる。

 

健康食品販売における主要チャネルは、訪問販売、通信販売(EC含む)、店頭販売ではドラックストア・薬局などの薬系ルート、CVS・量販店・食品スーパーなどの食品系ルート、健食系ルートなどである。現状は、主力チャネルが訪問販売から通信販売チャネルへの移行傾向にある。訪問販売チャネルは減少基調にあり、変わって通信販売チャネルが主力チャネルとして市場全体を牽引している。通信販売チャネルでは、新規参入企業も増加するなど、競争環境は激しくなっている。2012年度の通信販売チャネルの市場規模はメーカー出荷金額ベースで前年度比101.6%の2800億円と市場全体における構成比も上昇している。健康食品は、メインターゲットが中高年層ではあるが、EC利用率は上昇している。2011年から2012年にかけてのECサイトへのアクセス数に関して、スマートフォンが前年から3倍、タブレットPCが2倍以上に増えたメーカーもある。

 

*セブン&アイ・ホールディングスは、ネットスーパー分野でもグループ内でのシナジーを強めるサービスを拡充している。例えば、同社はセブンネットの商品を全国1万6000店舗のセブンイレブンで、送料・手数料無料で受け取れるサービスを行っているが、2014年2月よりセブンネットの商品を全国170店舗のイトーヨーカ堂の店舗でも受け取りが可能となるサービスを開始した。同社の取組はEC(ネット)だけでなく、実店舗も活かしたオムニチャネル戦略の推進事例の一つである。

 

*ケンコーコムは“健康”+“EC”をキーワードにサービスを展開する。医薬品分野で成長をしてきたがが、健康食品分野の取扱にも力を入れている。商品数の構成比では、健康食品が医薬品の約2倍となっている。2013年で最も売れた商品は“水類”であった。

同社の近年の傾向として、スマートフォン、タブレットPC経由の売上は前年同期比約2倍となる6億4200万円と公表している。同社は2014年1月より、「楽天24」の事業継承を受けたが、同サービスの運営について2014年度は売上高30億円の目標を掲げている。

また、同社は消費者からの問合せなどのサポート体制も強化している。健康食品と医薬品の飲み合わせなどに対し、メールや電話で薬剤師が対応することや、カスタマーセンターもアウトソースすることなく社内に設置している点が特徴的である。

 

④自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品小売業

家具・家庭用品分野の関連市場として、「ベッドリネン・寝具」「タオル製品」「ナイトウェア・ホームウェア」「ホームファニチャー」「インテリアファブリックス」「ホームライティング」「キッチン・テーブルウェア」の7分野を対象とするホームファッション小売市場規模は2012年で前年比103%の3兆901億円、2013年も微増傾向が続くと予想される。同市場は過去長期的にマイナストレンドであったが、2011年以降はプラスに転じている。

家電製品小売業分野の関連市場として、家電小売市場のトレンドについては、2010年まではエコポイント・地デジ特需により成長傾向にあったが、その反動によりその後は減少傾向が続いている。

 

ホームファッション市場について、販売チャネルとしては、百貨店、量販店、ホームセンター、通販(EC含む)、アウトレットチャネル、ショッピングセンターなどが挙げられる。現状は、ファッションビルや大型商業施設への出店が拡大している。また、ネット通販(EC)やアウトレットショップなど新たな販路を模索する取組も進んでいる。一方で、百貨店などの従来販売路は、適正な売上規模への見直しを図るなどして収益性重視にシフトしている傾向にある。

電気製品小売市場についても、近年はEC経由の売上が成長基調にある。家電量販店では、事業者間の買収などの動向も見られる。主要な事業者としてはヤマダ電機、エディオン、ケーズホールディングス、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどである。ジャパネットたかたなど、家電製品に強い通販事業者もある。

 

*アスクルは、2012年4月ヤフーと業務・資本提携し、同年10月、BtoC向けECサービス「LOHACO」のサービスを開始して以降、日用品を中心とするEC分野により一層力を注いでいる。LOHACOはサービス開始以来、お客様数、注文数ともに堅調に伸ばしており、2014年3Q売上は前年同期比146%の36億円となり、通期で100億円を目標に据えている。また、2014年2月には「LOHACOマーケティングラボ」を設置した。LOHACOや市場のビックデータを解析し、LOHACOでの実証を通じて、EC市場における最先端のマーケティング手法の開発、ECの普及による効率的な社会システムの実現によって生活者の日常をより豊かにすることを目的としている、としている。設立当初時点で味の素、花王カスタマーマーケティング、カルビーなど12社が参加している。

 

一方、家庭用品・日用品や電気製品分野は、コモディティ商品として、商品自体での差別化が難しく、価格競争が激しくなる傾向にある。特に電化製品などは、比較サイトなどで最低価格を調べた上で、量販店で価格交渉をするという消費行動も見られる。こうした市場環境を受け、ポイントサービスやプライベートブランドなどオリジナル商品を扱うなど、付加価値戦略の重要性を今後の重要課題として指摘する事業者もある。

 

⑤医薬化粧品小売業

厚生労働省の統計によれば、一般医薬品の生産金額は2012年で前年比111.6%の6890億円の規模である。また、一般用薬品流通(卸)企業における事業規模(一般用医薬品流通(卸)事業を展開する主要17社売上高ベース)としては、2012年度で前年比100%の4081億円との推計もある。これは一般用医薬品市場全体の4050%規模と推計される。

化粧品市場は、市場全体としては横ばい傾向にある。国内化粧品市場規模は前年度比100.8%の2兆2900億円と推計されている。日本の化粧品市場は、人口減少や少子高齢社会の中にあって大きな成長が見込みづらい成熟市場であるが、国内市場での限られたシェアをめぐって既存メーカーとの競争激化をはじめ、外資系メーカーのプレステージ市場の強化、さらには異業種企業の新規参入など、競争環境が厳しくなっている。

 

医薬品に関しては、2009年施行の改正薬事法・改正省令により、ネットでの販売が規制されていたが、2012年12月に薬事法の改正案が可決・成立したことにより、再びネットでの医薬品販売が可能となった。一般医薬品に関しては、適切なルールの下、基本的に全てネット販売が可能となり、スイッチ直後品目については、原則3年で一般用医薬品へ移行させ、ネット販売が可能となる。これを受け、日本における医薬品EC市場規模は、今後急速に成長する可能性が高い。

 

化粧品流通としては、制度品流通、一般品流通、訪販品流通、通販品流通、直販品流通、理美容(業務用)流通などがある。通販品流通には、いわゆる通販専用化粧品メーカーだけでなく、資生堂、カネボウ化粧品など大手一般化粧品メーカーも参入している。

化粧品分野は、量販店、ドラックストア、CVSなどが主要チャネルであるものの、事業者はECチャネルへの取組も行っている。通販品流通は成長基調にあることから、参入企業が増加している。

 

*ケンコーコムは、国内での医薬品のネット販売が規制されて以降は、シンガポールに子会社を設立し、日本向け等の一般用医薬品販売サービスを提供していた。シンガポール子会社の売上高は堅調に成長し、2012年度2Qには四半期売上高が1億円を超える規模に成長していた。前述の改正薬事法を受け、2013年1月より日本国内での医薬品ネット販売を再開し、シンガポール子会社での日本向け医薬品販売を終了し、海外サプリ等の販売に注力している。同社は今後の国内での医薬品のEC市場に関し、サービスの拡充をすると同時に、カスタマーサポート体制を強化し、販売に際する消費者からの相談対応をするなどの取組に引き続き力を入れるとしている。

 

*オルビスは2013年のネット売上比率が前年から6.6pts上昇している。ポーラ・オルビスホールディングスは、中国、ASEAN、ロシア、北米などに海外展開も行っているが、特に中国でネット販売チャネルが急成長していると捉えている。オルビスブランドとして、中国における通販事業への参入、ECモールへの出店も検討している。

 

*ドクターシーラボは、販売チャネルとして通信販売チャネルが最も比率が高く、通信販売におけるEC売上シェアは2013年7月期で42.3%と公表している。他の販売チャネルと比較してECチャネルは順調に伸びていると評価している。

 

*ファンケルはマーケティングにおいて、web・メール・スマートフォンの活用を強化している。スマートフォン向けにEC用の「FANCLお買い物アプリ」をリリースするなどしている。

 

⑥宿泊・旅行業、飲食業、運輸業

一般社団法人日本旅行協会の統計によれば、2013年の主要旅行業者の旅行取扱総額は前年比101%の6兆4290億円となっている。うち、海外旅行が全体の約35%、国内旅行が64%となっている。前年と比較すると、海外旅行は約2pts下がり、国内旅行が約2pts上昇している。

 

旅行市場の販売チャネルとしては、旅行代理店などの実店舗のほか、カタログ、通販(EC含む)などがある。近年は、ネット専業で宿泊・トラベル予約・購入サービスを提供する事業者も増加し、ECチャネルは急速に成長している。一方で、実店舗チャネル規模は縮小傾向にある。

また、航空券・鉄道などの手配に関しても、ネット予約サービスが広く普及しつつあり、宿泊と移動チケット購入を手配し購入されるケースも急増している。旅行代理店は、ダイナミックパッケージを拡充するなど商品のテコ入れを行ったり、ネット販売用の専用商品を拡充するなど、ネット(EC)対応は非常に重要なポイントとなっている。

 

旅行代理店系の事業者としては、JTB、HIS、阪急交通社、近畿日本ツーリスト、ネット専業系のサービスとしては、じゃらんnet、楽天トラベル、たびゲーター、一休などがある。こうした旅行代理店とネット事業系サイトは一部で提携サービスを提供するなどのケースも増加している。楽天トラベルにおける予約流通総額は、2013年度は5473億円、前年比115%と成長している。

 

航空会社系では、ANA、JALといった大手航空会社だけでなく、LCC系航空会社でもネット直販でチケットを取り扱っているほか、各社でパッケージ商品も積極的に展開している。LCC系航空会社は、頻繁に割引キャンペーンをするなど、特にネットを活用した販売施策には注力している傾向がある。

 

鉄道会社系では、JR東海の新幹線利用客へ向けた「エクスプレス予約」などがある。エクスプレス予約は、会員数約223万人、平日1日当り利用件数は2013年9月時点で約11万件の規模となっている。

 

⑦情報通信業

当該部門で顕著なトピックスは、スマートフォン市場の急成長である。総務省調査によると、2012年の物販系モバイルEC市場規模は前年比118%の6878億円、サービス系、トランザクション系(データベースにおいてデータの検索や更新など一連の作業を処理すること)と合わせると前年比128%の1兆4997億円であった。また、スマートフォン経由のEC、いわゆるスマートフォン・コマースの市場規模は2013年で1兆3469億円に達するとの推計もある。現状、スマートフォンチャネルが、EC市場における大きなドライブ要素となっていることがうかがえる。

 

前述の総務省調査によれば、物販系モバイルEC市場は堅調に成長しているが、成長ペースは2011年の前年比133%に比較すると鈍化傾向が見られる。ただし、これは単純にモバイルECの成長率が鈍化しているということを示しているのではなく、スマートフォンとPCのボーダレス化による影響が背景にある可能性もある。スマートフォン経由の売買に関しては、プラウザ経由で利用があった場合にはサービス事業者サイドでは明確にPC経由かスマートフォン経由かを把握していないケースもある。実際、小売系のEC市場全体で見ればここまでの鈍化傾向はみられない。

 

また、モバイルコンテンツ市場規模は、2012年で前年比116%の8510億円であった。内訳で見ると、スマートフォン等市場が3717億円(前年比461%)と急成長している一方でフィーチャーフォン市場は急速に縮小している。デバイスチャネルで比較するとほぼ拮抗する規模になっており、2013年にはスマートフォン等市場規模がフィーチャーフォンを大幅に上回ると予測される。

2012年のスマートフォン等市場規模の内訳としては、「ゲーム・ソーシャルゲーム等市場」規模が2607億円(前年比542%)と市場の70%を占め急成長している。デジタル系ではスマートフォン向けは、現状は圧倒的にゲーム系中心の市場である。

 

デジタルコンテンツ分野では、ゲーム系はソーシャルゲーム市場やネイティブアプリ系市場が牽引し、スマートフォン向け市場は急成長している。

また、電子書籍市場もAmazonKindleや楽天Koboの登場や、国内出版社が急速に電子書籍の取組を強化しており、スマートフォン向け市場含め成長基調にある。

動画配信市場も、規模感はまだ小さいながらもスマートフォン向けを含め成長基調にある。

 

他のコンテンツ分野・ジャンルが成長している中で、縮小傾向が続くのが音楽配信市場である。特にモバイル系音楽配信市場については、縮小基調が続いている。

前述の総務省調査によると、2012年のフィーチャーフォン向けの音楽配信市場規模は754億円(前年比61%)にまで縮小している。フィーチャーフォン向け音楽配信は、着メロ・着うたに分類できるが、着メロ市場規模は前年比70%、着うた市場規模は前年比59%にまで落ち込んでいる。

一方、日本レコード協会の発表資料によると、PC・スマートフォン合わせた音楽配信市場規模は成長しているものの、2012年で180億円に過ぎない。

音楽配信の分野では、フィーチャーフォン市場が縮小した分をスマートフォンが補完しているとは言いがたく、今後も縮小基調が続く可能性が高い。

 

以上

 

 

経済産業省・商務情報政策局が発表する、平成25年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書からBtoC-EC市場を抽出してまとめた。

報告書は、上記以外に、BtoB-EC市場規模、日本・米国・中国間の越境EC市場規模、日・米・中におけるインターネットビジネス環境、日・米・中における自国EC利用実態等を含む220ページを超える報告書である。中国向けネットビジネス等を考える上では参考になる部分も多いので、必要に応じて検索して頂きたい。