レポートNo133 2014.11.21  <倉林 勝>

上場チェーンストア上期決算

上期の決算は、営業収益ではイオン、セブン&アイの2強であるが、利益で見るとセブン&アイの

1強体制である。事業別で見ると、GMSやSMではナショナルチェーンが不振で、リージョナルチェーンが健闘する。イオンやユニーの小売部門不振を見ると、チェーンストア業界全体が地下変動をおこしているようだ。


決算日

2月21日~8月20日

(株)平和堂、(株)オークワ

3月1日~8月31日

イオン(株)、(株)セブン&アイHD、ユニーグループHD(株)、(株)ダイエー、(株)ライフコーポレーション、(株)イズミ、(株)アークス、(株)マルエツ、(株)フジ、(株)カスミ、(株)サンエー

4月1日~9月30日

(株)バロー、(株)ヤオコー、(株)いなげや

イズミヤはH2Oリテイリングと経営統合し、今年5月に上場廃止となった。

ユニーは前期から決算期を2月20日から2月末日に変更したため、前期比は前期と単純比較した。

ダイエーの利益前期比は前期赤字のため比較していない。

 

今上期は前期末の順位と比べ、ライフがイズミを抜き、バローがアークスを抜き、ヤオコーがオークワを抜き上位となった。

3月の駈込み需要を含んだ決算でありながら、減収となった企業はユニー、ダイエー、フジ、オークワの4社ある。逆に3月を含まないバロー、ヤオコー、いなげやは増収増益となった。

営業利益減収企業は5社、赤字企業が1社ある。

上位8社の営業収益合計は約8兆3541億円となり、3月~8月の小売業販売額70兆8110億円の約12%となる。イオンとセブン&アイの合計は6兆4360億円で、小売業販売額の9%となり、上位8社の77%となる。

その他営業収益(金融収益、コンビニなどの手数料収益、不動産収益等)を見ると、イオンは営業総利益の35%、セブン&アイは49%、ユニーは45%を占める。

上位8社の販管費平均は31.3%で、ダイエー、ユニー、イオンが高い。

上位8社の営業利益合計は2440億円、2.9%である。セブン&アイが69%を占め、イオンが18%を占める。

上期純利益の合計は958億円、1.1%である。セブン&アイが88%を占め、イオンは2%しかない。

イオンはダイエーを来年完全子会社化するが、合わせれば赤字となる。

イオンの上期業績は大幅増収であったが、大幅減益となった。

特に、営業収益の50%を占めるGMS事業の営業利益は240億円減、30%を占めるSM・DS・小型店の営業利益は52億円減となり、全体の足を大きく引っ張った。

デベロッパー事業も減益となり、増益事業は総合金融事業と赤字ながら中国事業のみとなった。

 

全体の営業総利益は1707億円増加するが、販管費も2010億円増加し、営業利益を大幅に減少させることになった。特に人件費が738億円増、販売促進費が358億円増、設備費が743億円増となり、販管費全体で営業収益増収率を上回る20.7%増となった。

 

連結有利子負債は2013年8月期から1920億円増加し1兆6900億円となり、自己資本比率も16.0%から15.7%に低下した。

セブン&アイの上期業績は増収増益となったが、コンビニエンス事業と金融事業の増収増益が要因である。

スーパーストア事業は増収減益、百貨店事業は増収赤字となった。

この上期からセグメントに通信販売事業が加わったが、主にニッセンHD等である。

その他事業はIT関連のセブン&アイ・ネットメディア、セブンネットショッピング等である。

所在地別に見ると日本は減益となったが、北米が増益となり、全体を押し上げた。為替が大きく円安となったため、円ベースではドルベースに比べ増益率が高まった。

中国事業はイオン同様営業赤字である。

ユニーはコンビニ・金融等を除くユニー本体、他は単体あるいは連結で表示した。

イズミ、平和堂、サンエー、イオン北海道などリージョナルチェーンのみが増収で、ナショナルチェーンは減収である。

営業利益はイズミ、平和堂、サンエーの順で赤字が3社ある。

オークワを除き増収であるが、営業赤字が1社、純利益赤字が3社となった。

営業利益はヤオコー、バロー、アークス、ヨークベニマルの順で、イオン系のマックスバリュの不振が目につく。特に消費増税直前の3月を含まない決算でありながら、バロー、ヤオコー、いなげやは増収増益となった。

減収が2社、営業減益が3社である。7-Eleven,Incはドルベースの営業利益増収率は+7.9%であるが、円安で円ベースでは大幅増益となった。

日本&米国セブンイレブンの合計営業利益は、残る4社合計の約2倍となった。

三越伊勢丹HD、H2Oリテイリング、丸井グループの決算期は4月1日~9月30日、他は3月1日~8月31日である。

H2Oリテイリングは6月にイズミヤを統合したことで大幅な増収となったが、百貨店単独では△0.8%であった。純利益はイズミヤとの経営統合で「負ののれん」が発生し104億円を特別利益に計上したため。

イオン、セブン&アイは営業増益であるが、ユニーは減益となった。

大手流通グループでの金融事業は利益面での貢献度が高い。営業利益ベースではイオンの48.5%が金融事業で、セブン&アイは14.4%、ユニーは8.0%となる。

丸井カード事業(金融事業)の営業利益は全体の84.6%と高比率である。

 

上半期の業績を見ると、営業収益ではイオンとセブン&アイの2強体制であるが、利益面で見るとセブン&アイの1強体制である。

しかし、業態別でみると様相は変わる。

GMSもSMもナショナルチェーンが不振で、リージョナルチェーンが健闘すが、全般的にGMSの不振は立ち直る気配が見えない。

特にセブン&アイのイトーヨーカ堂の不振、イオンのイオンリテールやイオン九州、そして各地区のマックスバリュの不振が際立つ。

また、ユニーはGMS、CVS、専門店と全ての事業が不振で、今後の動きに目が離せない。

チェーンストア業界全体が地下変動をおこしているようだ。

 

以上