レポートNo130 2014.10.22  <倉林 勝>

ホビークラフト市場規模

1965年(S40)からホビークラフト業界がどのように変化したか、また、その過程で小売業が

どのように変化してきたかを見る。大きな流 れを見ると1995年(H7)が21世紀に向けてのターニングポイントであることが判る。ホビークラフトの市場規模を家計調査から、また、小売業の店舗数から想定する。


ホビークラフト市場はモノ不足時代に自分で衣服等を作るところから始まり、モノ余り時代に入り趣味を楽しむように変わってきた。縫う(洋裁)・編む(編みもの)・刺す(刺繍)中心の時代は生地店とか洋裁材料店、手芸店とか呼ばれる専業小売店が中心であったが、いつしか多くのクラフト商材が加えられ総合型のホビークラフトショップと呼ばれるになった。

時代の流れの中で小売店の形態も扱い商品群も変わってきた。

 

(A)ホビークラフト業界を振り返って

1965年(S40)~1974年(S49)

昭和40年代は、全国至る所にボタン店や洋装材料店、あるいは毛糸を中心とした手芸店があり、全国には糸や針、ボタンなどを専業だったり、化粧品や小間物と一緒に扱ったりする店は5万店とも7万店ともいわれるくらいあった。

ボタンや糸、洋裁道具などを扱う店は紳士服の付属品販売からの転業や、新規に参入する小売店も多く、新店舗を作り複数店を持つ小売業もできてきた。そして、店舗は10~20坪程度の専業店が圧倒的であった。

また、地方都市には関連する卸業も多くあって、小規模な店舗をカバーしていた。

 

この時代の洋裁材料商の扱い品目はボタン、糸、洋裁道具、繊維雑品(バイアスやインサイドベルトなど)、裏地、芯地が中心で洋裁のための材料商であった。また、紳士付属品から転業した店は、ボタンホール加工やネーム刺繍なども行っていた。お客は洋装店や洋裁学校の生徒が中心で一般の消費者は少なかった。手芸店は毛糸、刺繍関係を一般消費者に販売していたが、どの手芸店も店頭講習を行い、手編みの普及を推進していた。

 

モノ不足時代にあって卸業の力は強く、需要を賄いきれない商品も多くあって、有力小売店を中心に配給するような、「そうは問屋が卸さない」時代であった。これもモノ余り時代に入ると流通経路も変化し、いつしか「そうは問屋に卸せない」時代に変わっていく。

 

昭和40年代の中頃、S44(1969)年に岡田屋(四日市)、フタギ(姫路)、シロ(吹田)の3社が合併しジャスコ(apan nited tores Company)を設立したが、合併当時の売上はオカダタチェーンを含めて約380億円である。フタギの姫路本店の1階は大型の生地売場であったことを思い出す。

また、S44年(1969)のイトーヨーカ堂は店舗数16店舗、売上160円の規模であった。

この頃は、セルフ販売方式のスーパーが乱立し、スーとできてパーと消える「スーパー」と揶揄されたが、スーパー時代の到来を告げる時でもあり、S42年(1967)に日本チェーンストア協会が設立されている。

S48年(1973)にオイルショックが起き、買いだめ客が各地のスーパーに殺到した時代である。

 

当時の家計調査を見ると、婦人洋服(婦人服・スカート・スラックス・オーバー・レインコート・女子学生服・他の婦人洋服)より生地・糸類(生地・毛糸・他の生地糸類)の方が多く消費されている。

婦人服はまだ製品を購入するより、生地を買って洋装店等で仕立てることが多い時代で、洋裁材料店に勢いがあった時代だ。

家計調査では仕立代が婦人用服の半分弱を占めている。

1975年(S50)~1984年(S59)

昭和50年代に入ると、アメリカホームソーング市場の隆盛から日本においてもホームソーイングの普及活動が活発となり、各合繊メーカーからソーイングパターンが発売された。S47・8年(1972・73)頃にカネボーが「ベルカットパターン」、旭化成・日本バイリーン・リッカーミシンが不織布で作った「ヌーヌーパターン」、三菱レイヨンが「エポパターン」を販売し始め、蛇の目ミシンは自社専用で「ジャノメフットパターン」を販売した。

従来の生地店、材料店、ミシン店等の専業店から、それらを一括して扱う「ワンストップショップ」が大きな流れとなり、蛇の目ミシンは全国に140店を超えるジャノメ「ソーイングセンター」を出店していった。

また、スーパーも食品から総合的なGMSが主体となり、多くの店舗で生地売場と雑貨売り場の洋裁材料を一体化した売場が主流となり、一気に売場が増えていった。

洋装店で仕立ててもらった洋服を、パターンを使用して自分で作ることが経済的に有利であること、また、既製服が高くそれほどのバラエティに富んでいなかったことなどから、将来1兆円のホームソーイング市場を夢を見た時代であった。

 

当時は、ブラザーミシン、蛇の目ミシン、リッカーミシン、東京重機ミシン、丸善ミシン、シンガーミシン等多くのミシンメーカーが競い合い、ブラザーと蛇の目の直営店合計が全国に約1300店舗あった時代だ。

S50年(1975)にはミシンの普及率が84.7%に達し、100世帯で2台が販売される時代であった。

家計調査を見ると、世帯当たりミシンの支出金額はS45年(1970)620円、S50年(1975)1261円、S55年(1980)1484円と上昇するが、生地単独の消費はS50年(1975)の7085円がピークで、徐々に婦人服は製品に需要が変化していく時代に入った。

 

この頃はまだ生地も売れ、生地のバーゲンセールには大勢のお客が集まり、特に春夏物は簡単にできることもあって、よく売れた。しかし、冬場になると素材が綿からウールや合繊に変わり、材料が高くなるだけでなく、裏地を付ける等自分で作るには技術的な難しさもあって盛り上がりに欠けるようになった。

そのような時に、冬場対策として「ソーングクラフト」というコンセプトを作り、生地やキルトを使用した袋物等の小物作りを提案し、受け入れられるようになってきた。

特に、クリスマスに向けて生地を使用したツリーやリース、あるいはタペストリーなどが市場を大いに沸かせた。クリスマス雑貨のパターンが1アイテムで20万部とか30万部とか売れた時代だった。

袋物やバック等の手作りもブームとなり、アクリルテープやコード、手口(バック用持ち手)などが飛ぶように売れ、テープやコードがカラーコーディネイトされたのもこの頃だ。

3月頃の入園入学商品、6月頃の教材商品、11月頃のクリスマス商品が市場を牽引する黄金時代であった。

 

GMSは全盛を迎える。S49(1974)にイトーヨーカ堂がセブンイレブン1号店を、S50年(1975年)ダイエーがローソン1号店を出店する。

S55年(1980年)にはダイエーが小売業初の売上1兆円を突破し、イトーヨーカ堂は92店舗で5696億円、ジャスコは133店舗で5537億円となった。

しかし、S56年(1981)イトーヨーカ堂は初の減益となり、売り手市場から買い手市場に変化したとの認識のもとに「荒天に準備せよ」とのスローガンを掲げ、業務改善に力を入れ「業革」をスタートさせた。それに合わせ、S60年(1985)から本格的なPOSの導入が図られ、納品する全商品にJANコードの添付が義務付けられた。

当時の洋裁材料や手芸の専業店は10~20坪程度の店が平均的であったが、チェーンストア内の生地・手芸売場は30~40坪が平均的で、売場面積の大きさやセルフ方式の買いやすさ、買い回り的商品(実需品)を中心とした品揃え、価格の安さなどで、チェーンストアの売場が市場で大きな位置を示すようになった。

 

チェーンストアの台頭と共に、小売業の店舗数はS57年(1982)の172万店をピークに減少に転じるが、ホビークラフト業界は「コットンブーム」の到来で、全国にコットン生地を扱うコットンショップが続々と誕生し、活気を見せていた。

コットンブームは当時のJ・J、ノンノ、アンアンなどファッション誌に頻繁に取り上げられ、今では考えられないようなルイビトンの意匠を使ったキルトなどの手作り作品がブームとなった。

S50年(1975)に銀座コアビルに「ホビーラホビーレ」の1号店が誕生し、ホビーという言葉が使われるようになり、S51年(1976)に日本ホビー協会が設立され、S53年(1978)に日本ホームソーイング振興会(現在は解散)が設立された。

1985年(S60)~1994年(H6)

昭和60年代から平成の初めは波乱に富んだ時代となった。

昭和64年(1989)1月、昭和天皇崩御とともに年号は「平成」に変わり、その年の12月にはベルリンの壁が崩壊し、グローバルな競争時代に突入する。

バブル景気を謳歌していた日本はH元年(1989)12月に日経平均株価は史上最高値の3万8915円を付けるが、翌H2年(1990)10月に2万円を割り込み、H4年(1992)8月に1万4309円の低水準となってバブル景気の終焉を迎え、その後の低成長時代を迎える。

H元年(1989)にバブル景気の中で、初の消費税3%が導入された。

H5年(1993)1月には百貨店売上がS40年(1965)以来初の売上前年割れとなり、百貨店の長期低迷時代となる。

H6年(1994)には製造物責任法(PL法)が公布され、企業として保険に入っているかどうかが問われるようになった。

 

S58年(1983)~S63(1988)頃に最後の手編みブームが起きて、毛糸が飛ぶように売れる時代となった。ダイエー1社で毛糸を100億円販売するといわれ、ジャスコ、イトーヨーカ堂の3社で200億円を超える販売があったといわれる。

また、S59年(1984)頃から、ソープ手芸が突然ブームとなり、ラックスの石鹸、虫ピン、リボンが取り合いになるということもあった。

さらに、S50年代後半から、サンリオのキャラクターを使用した生地やワッペン、ネームラベルなどがブームとなり、キャラクターブームがこの時代に花を添えた。

H4年(1992)にはインターナショナル・キルトウィークの第1回が開催され、キルトもブームの一つとなり、H5年(1993)にはJリーグ発足と同時に刺繍糸で作るプロミスリングが大ブームとなった。

生地は少しずつ売上を下げたが、他のブームに助けられ、ホビークラフト業界は順調であった。

この頃からリボンを含めて、新たな商品群の導入が進められるようになってきた。

また、この頃からチェーンストアの生地・手芸売場は専門店としてショップ名を付けるようになり、ジャスコは「パンドラ」、イトーヨーカ堂は「綿帽子」、長崎屋は「織糸布(オリーブ)」などの名を冠して店舗の拡大や増設が活発になっていく。

 

H2年(1990)のイトーヨーカ堂は138店舗で1兆2469億円、ジャスコは169店舗で9954億円の売上であった。

1995年(H7)~

平成7年(1995)以降は自然も政治、日本経済、流通も激しい変化に見舞われる。

21世紀を目前にしたH7(1995)は1月の阪神淡路大地震から始まり、「大地動乱の時代」の幕が上がった。H23年(2011)3月の東日本大震災に至る間にも、三宅島噴火(H13・2001)、宮城県北部地震(H15・2003)、新潟県中越地震(H16・2004)などがおこり、世界においてもインドネシアスマトラ島沖巨大地震(H16・2004)、米国大型ハリケーン・カトリーナ(H17・2005)、インドネシアジャワ島大地震(H18・2006)、中国四川省大地震(H20・2008)、アイスランド大噴火(H22・2010)、ハイチ大地震(H22・2010)などが起こった。

自然環境に対する意識は増大し、温暖化問題が世界の潮流となり、H19(2007)にアル・ゴア前米副大統領と国連の気候変動に関する政府間パネル(COP)がノーベル平和賞を受賞した。

環境問題や人口問題が21世紀のキーワードとなっていく。

 

阪神淡路大地震の直後H7年(1995)3月に地下鉄サリン事件が起き、日本の安全が突然のように脅かされる。

H23年(2011)の東日本大震災時に起きた福島原発事故は、アンダーコントロールといわれるが、未だ解決のメドは立たず、原発・エネルギー問題は日本の大きな問題となったままだ。

21世紀に入った直後H13年(2001)にはアメリカ同時多発テロが発生し、パックスアメリカーナの安逸が一気に崩壊し、世界は混沌とした状況を今日まで続けることになる。

 

ITが一気に日常生活に入り込み、日々の生活や流通までも大きく変えることとなるのもこの時代だ。

H7年(1995)のウィンドウズ95、H10年(1998)のウィンドウズ98の発表はインターネット時代の幕をあけ、H11年(1999)のiモードサービス開始が携帯電話、スマートフォンの普及となっていく。その後、フェイスブック、ツイッター、ユーチュブ、ラインというようなSNSは日常生活から革命、暴動まで幅広く使用さるようになった。

 

H8年(1996)に村山内閣の後を受けて橋本内閣が誕生した。橋本首相は行財政改革を進め、特に金融制度改革(金融ビックバン)はフリー、フェアー、グローバルの原則のもと、「護送船団方式」を崩壊させ、規制緩和を進めた。

また、H9年(1997)バブル崩壊後の低成長時に消費税を3%から5%に引上げ、H10年(1998)以降マイナス成長に陥り、長いデフレ時代に突入する。

H9年(1997)には三洋証券、北海道拓殖銀行、山一證券、H10年(1998)には日本長期信用銀行、日本リース、H11年(1999)には東邦生命などが破綻し、H12年(2000)に入ると残った都市銀行は合併・統合が進んだ。

アメリカではH12年(2000)にITバブルが崩壊し、H20年(2008)年にはサブプライム問題からリーマン・ブラザーズが破綻し世界同時不況に陥り、EUの経済危機などとなった。

 

金融機関の破綻、統廃合は大手流通にも影響を及ぼし、多くの破綻や統廃合が起きる。

H9年(1997)ヤオハンジャパン、H12年(2000年)そごうグループ、長崎屋、H13年(200)マイカル、寿屋、H16年(2004年)ダイエーと破綻劇が頻繁となる。

H14年(2002年)には西友がウォルマートと業務・資本提携し、H21年(2009)には西武・そごう(ミレニアムリテイリング)がセブン&アイの傘下に、H24年(2012)にはパルコがJフロントリテイリングの傘下となり、ここにセゾングループは消滅する。

大手流通グループの破綻に時期を合わせたように、家電、ドラックストア、ホームセンターなどの専門量販店が急成長し、ファーストリテイリング、しまむら、大創産業、良品計画、ABCマート、ニトリホールディングス、ドン・キホーテ、トライアルカンパニーなど急成長する専門店が表舞台に登場する。

GMSや百貨店が低迷し、コンビニエンスストアと専門店が流通をリードする時代となった。

そして、インターネット通販が急成長するのもH12年(2000)以降だ。

H9年(1997)にサービスを開始した「楽天市場」の流通総額はH25年(2013)末には1兆7000億円に達し、H12年(2000)からサービスを開始したアマゾンジャパンはH25年(2013)末に1兆円を超える売上規模となった。

 

こうして振り返ると、H7年(1995)という年が大きく時代の変化を印象付ける年であった。

この頃、ゴールデン21などと明るい21世紀を予想する未来学者の書籍が幾つも出版されたが、世界は多くの問題を解決できず、現在も混沌とした状況が続いている。

 

H7年(1995)頃からホビークラフト業界も大型専門店チェーンの時代に入る。

専業専門店が20坪や30坪の時代に有利に展開してきたGMS内のショップが、専門店の大型化や多店舗化に勢いを失い、さらに家庭科から衣料実技がなくなるなど買い回り需要が減少し、ユニクロの登場・SPA化による衣料品の低価格から製品安の材料高時代となり、勢いを失っていく。

H6年(1994)藤久は店頭登録し積極的な多店舗化を進めて行く。ユザワヤはH8年(1996)に吉祥寺に大型店を開設し(旧店舗)、H18年(2006年)にはオカダヤが新業態マーノクレアールをアリオ亀有に出店する。イオンパンドラやドリームなども積極的に多店舗化を図り、従来型のGMS内売場は低迷し、存続の危機を迎える。

 

この頃になると、縫う・編む・刺す・の個別市場が衣料品の低下と共に縮小し、売場は新たなクラフト商材(特にトールやステンシルなどのペイント)を導入していく。そして、多くの品揃えをするために、必然的に売り場面積は拡大していく。

H13年(2001)ころからスワロスキーを中心とする空前のビーズブームがおこり、市場を活性化させ、GMS内の売場も少し勢いを取り戻すが、ブームの終焉と共に勢いを失う。

H21年(2009年)頃にはスイーツデコがブームとなるが、GMSの売場を活性化させることは無かった。

 

H元年(1989)ジャスコグループはイオングループとなり、H20年(2008)にイオングループの再編によりイオン純粋持株会社となり、ジャスコはイオンリテール(株)に商号を変更する。H26年(2014)2月期の連結売上は6兆3951億円となった。

H17年(2005)セブンイレブンとイトーヨーカ堂、デニーズジャパンの持株会社として、セブン&アイ・ホールディングスを設立した。H26年(2014)2月期の連結売上高は5兆6318億円となった。

婦人用洋服は景気低迷のデフレ化において、単価の下落が消費金額にあらわれる。

毛糸は項目が無くなり、H17年(2005)からは他の生地・糸類に含まれることとなり、H12年(2000)の裁縫用具は家事用消耗品に含まれることとなった。

手芸材料がH12年(2000)に増加するのはビーズブームのせいであろう。

全体として、ホビークラフト市場の低迷が浮き上がる。

 

少し昔話を書いた。私が前職の清原(株)に入社したのは東京オリンピックの前年、S38年(1964)である。以後、45年間今でいうホビークラフト関係の仕事に従事し、その後今日に至っている。

当時の専業小売店、ミシンメーカー、GMS、衣料量販店等での取引を思い出しながら、また、イオンやセブン&アイの社史、ホビー協会のホビー白書、年表などを参考にしながら書いた。

記憶間違いもあるかも知れないが、ご寛容頂きたい。

 

ホビークラフト業界市場規模

市場規模については詳細な調査が無いため、仮説に基づいた推定である。

市場規模はホビークラフトのカテゴリーをどの分野とするか、取り扱う店舗がどれだけあるか、消費者がいくら購入するかなどで決まる。

アメリカのCHAは世界第3位のIpsosという調査会社に依頼し、全米の1万世帯で聞き取り調査を行い、世帯数と掛け合わせて報告書を出しているが、ここ2~3年はCHAの組織変更、予算減少などで調査は行われていない。

 

(B)ホビークラフトカテゴリー

アメリカCHA(全米クラフトホビー協会)は以前の4カテゴリー・35セグメントから3年前に8カテゴリー・54セグメントに変更し市場規模は約3兆円と発表した(H23年・2011)。

アーティスティッククラフト、ジェネラルクラフト、ジェリーメイキング&ビーズクラフト、ソーイングクラフト、ファインアート、ペーパー&メモリークラフト、ニードルクラフト、フローラルクラフトの8カテゴリーを54のセグメントに分類している。アート関連、フラワー関連、ジェネラルクラフトの中のフードクラフト、ウッドクラフトなど日本市場では少数のものも大きな市場規模である。

 

日本ホビー協会のH25年(2013)ホビー白書では、ホビー市場を①ホビークラフト、②ドゥイングホビー(料理・園芸等)、③ホビーコレクト(切手・コイン・フィギア等の収集)とし、①のホビークラフトを洋裁・和裁(市場規模410億円)、編物・織物・手芸(622億円)、関連する文化教室(362億円)、趣味工芸「組み紐、ペーパークラフト、革細工等」(480億円)、絵画・彫刻(337億円)、陶芸(262億円)、模型作り(1203億円)、日曜大工(2740億円)、伝統的習い事「書道(550億円)、お茶(850億円)、お花430億円)」等で構成され市場規模合計は8246億円としている。

 

2005年に日本ホビー協会は「手づくりホビー」の範囲を43に分類した。

ソーイング、機械編み、手編み(かぎ針編み、棒編み、レース編み、指編み)、刺繍、パッチワーク&キルト、刺し子、マクラメ、織物・ラグメイキング、組み紐、フェルト手芸、縫いぐるみ・編みぐるみ、絵画・ドローイング、デコラティブ&トールペイント、ステンシル、デコパージュ・3D、染色・捺染、ファブリックペインティング、フラワーアレンジメント(生花・造花・ドライ)、アートフラワー(リボン・ペーパー・粘土、ディップ)、ブーケ・コサージュ(ブライダル・ウェディング)、押し花クラフト、ビーズアート、ガラス工芸、陶芸・七宝、彫金・木彫、粘土工芸、籐工芸、レザークラフト、和紙工芸、ペーパークラフト・ちぎり絵・つまみ、アクセサリーメイキング(ビーズなど)、ドールハウス、軽飛行機、ミニチュアモデル、木目込み人形・日本人形・フランス人形等、カントリードール・ビスクドール・テディベア等、額縁作り、ポプリ(香り・ハーブ)、キャンドルクラフト、アルバム作り(スクラップブッキング&メモリー)、ラッピングホビー、お菓子作り、その他・・・計43分類

その後H23年(2011)に10の中項目と82の細目分類を発表した。

10の中分類は、手芸、ビーズ&フラワー&デコ、お菓子パン作り&食材作り、ホームDIY、ピクチャー&メモリー、美・健康・癒し、モデル&トイ、アウトドア、パソコン・ネット、伝統工芸である。

カテゴリーの範囲を拡大すれば、市場規模は拡大する。

 

店舗により扱うカテゴリーは違う。明らかにホビークラフトと呼べないような製品等を販売している場合もあるが、全てがその店(ホビークラフトショップ)の売り上げである。カテゴリーを固定的に考える必要はないようだ。以下にカテゴリー例を示す。

 

<実店舗>

①ユザワヤ(全体)

生地・コットン・舞台衣装、服飾材料・和洋裁用品・ミシン、手芸、毛糸、ビーズ、フラワー、工芸、画材・額縁、文具、書道用品、玩具・模型、オーダーカーテン、紳士服イージーオーダー、生活雑貨

 

②オカダヤ新宿店

ボタン・バックル、洋裁雑貨、手芸材料、毛糸・手芸、服飾雑貨、ビーズ・装飾雑貨、ウィッグ&ヘア小物、ステージメイク&グッズ、化粧雑貨、グラマーサイズランジェリー

特殊生地、服地・裏地・芯地、衣装生地、コットン生地、インテリア生地・付属

 

③ヴィーシーズ高崎店

アート、書画材、クラフト、手芸・ホビー、生地、ビーズ、額装、デザイン工房、カルチャー教室、体験イベント、輸入雑貨

 

④ジョウフル2千葉ニュータウン店

クラフト、画材、額装・表装、玩具、パズル、デザインセンター、ブライダル、アンティーク、ギャラリー、カルチャースクール、催事

 

<ネット>

⑤手作りマーケットtetote

アクセサリー、ファッション、バック・財布・ケース、ニット・ソーイング、メンズ、家具・インテリア雑貨、陶器・ガラス・食器、文具・ペーパークラフト、ベビー・キッズ、おもちゃ、ぬいぐるみ・人形、リメイク・デコレーション、ビーズ、アート・写真、アロマ・キャンドル、フラワー・ガーデン、ペットグッズ、ヴィンテージ・アンティーク、ハンドメイド素材

 

⑥楽天・手芸

毛糸、編物道具、和洋裁材料、裁縫道具、生地・布、クラフト、アクセサリーキット、ビーズ、刺繍、パッチワーク、タイル、編機・織器、ミシン、その他

 

⑦アマゾン・手芸

布・生地、裁縫道具、裁縫材料、装飾材料、ビーズ・アクセサリー、編物・毛糸、フェルト、刺繍、パッチワーク・キルト、スクラップブッキング、ドールメイキング、レザークラフト、籐・ラタン細工、陶芸、粘土・陶土、銀細工、ワイヤーアート、ペーパーアート、篆刻、ミシン

 

アメリカのホビークラフトショップ、マイケルズやジョアン、ホビーロビーなどは非常に幅広いカテゴリーを扱い、女性だけでなく男性の顧客も多い。そのため1000~1500坪の面積を必要とする。

日本は100坪とか200坪のなかで、女性中心の絞り込んだカテゴリーを扱うことで、より専門性を高めている。

カテゴリーの詳細は各社のHPを参照下さい。

 

(C)家計調査から見る市場規模

H25年(2013)時点でのホビークラフトに関係する家計調査項目はミシン、着尺地・生地、他の生地・糸類、手芸・工芸材料の4項目である。

他の生地・糸類にはミシン糸を含む糸類、裏地、芯地、皮革生地、ゴムひも、スナップ、ボタン、ファスナー、バイヤス、コード、毛糸等が含まれているが洋裁用具などは含まれていない。

市場推定規模はH25年(2013)3月の国内世帯数5560万世帯を支出金額に掛け合わせた金額である。

狭義で市場を見れば約1600億円規模であるが、上記の項目はホビークラフトショップの中心ではあるが、全てではない。

 

編機や織機は他の家庭用耐久財に、フラワー関係は室内装備品と思われる、カーテンのタッセルや部品等はカーテンに、クッションや座布団などは他の室内装備品に、裁縫用具(はさみや針、編み棒など)は他の家事雑貨に、エプロンや割烹着は他の被服のその他に、方眼紙などは他の紙製品に、スタンプやスタンプ台は他の文房具に、洋裁や手芸等の本は書籍に、パターンは他の印刷物に、スクールバックやレッスンバックは他のバックに、リボン類や装身具用造花、ビーズのアクセサリーなどは装身具に、通常扱われる多くの商品が各項目に組み込まれている。

上記4項目以外の商品の市場規模を算定する根拠はないが、かなりの金額であろう。

根拠はないが、裁縫用具で200億円、本・パターンで200億円、造花や押し花などで200億円、リボンやアクセサリー類で200億円、他で200億円と推定すれば全体では約2600億円規模となる。

ショップによっては、これらに含まれない生活雑貨やファッション雑貨、アパレル製品なども扱っている。

また、文具や玩具などの扱いも多いので、関連する店舗の総売上はもっと大きなものであるだろう。


教室月謝も考えてみる。

他の教養的月謝・・・茶道、華道、着物着付け、バレエ、日舞、ダンス、絵画、彫金、革細工、刺繍などの月謝等

家事月謝・・・和裁、洋裁、編物、料理などの月謝等

他の教養娯楽サービスのその他・・・華道、茶道、栄養士、理容師などの各種免許料、技能テスト、宝くじ、競輪競馬の券、貸しスタジオ、コピー代等

市場推定規模の算出方法は①と同じである。

他の教養娯楽サービスのその他は直接関係が無いかも知れないが、月謝市場は大きなものがある。

他の教養的月謝の部分、家事月謝の部分のホビークラフト関係がどのような比率かは不明であるが500億円規模はあるのではないだろうか。

 

100世帯当たりの購入頻度を記しているが、ミシンは100世帯で年間1世帯が支出するということである。着尺地・生地は年間約半分の世帯が支出していることになるし、他の生地・糸類は1世帯が年間約1.5回購入していることとなる。

着尺地・生地は約2780万世帯が年間1回約1500円支出し、他の生地・糸類は約8340万世帯が年間1回約580円支出している。

手芸・工芸材料は4450万世帯が年間1回1090円支出している。

これは単純計算なので、実際は1世帯が複数回支出すれば、支出世帯数は減少し支出金額は増加するだろう。

しかし、店舗出店の際に参考になる数字だ。

呉服・服地小売業は呉服、和服、服地、反物、裏地等を販売する小売業である。

洋品雑貨・小間物小売業は幅が広く、洋品店、装身具、化粧道具(化粧品は除く)、シャツ、帽子、ネクタイ、タオル、靴下、ベルト、裁縫用具、毛糸等を販売する小売業である。

 

日本の小売業の事業所数(店舗数)はS57年(1982)の172万店舗をピークに減少し、現在は100万店規模まで縮小した。大型店の台頭により30㎡以下の店や従業員の少ない小規模の店舗が大きく減少する。総店舗数の中には百貨店やGMS、HC、大型家電店、ドラックストア、コンビニエンスストア等全て入っている。

 

呉服・服地小売業はS51年(1976)の3万8049店舗をピークに減少しH24年(2012)には8360店舗となる。また、販売額はS57年(1982)の2兆270億円から3324億円まで減少する。

洋品雑貨・小間物小売業はS49年(1974)の3万8731店舗をピークにH24年(2012)には1万1992店舗まで減少する。また、販売額はH3年(1991)の1兆6909億円をピークにH24年(2012)は6595億円まで減少する。

小型専業店が淘汰され、これが地方商店街の衰退につながっている。

H24年(2012)を店舗面積別に見ると、呉服・服地小売業は約10坪以下が21.2%、約10~30坪が49.5%、合わせて約70%が30坪以下の店舗である。

また、洋品雑貨・小間物小売業は10坪以下が22.0%、10~30坪以下が44.1%、合わせて約66%が30坪以下の店である。

また、これらの小型店鋪の大半は法人ではなく個人経営が多い。

こうしてみると、専業小売店の数はまだまだ減少するであろう。

 

③手芸店の店舗数

総務省統計局の小売店穂数は呉服・生地小売業と洋品雑貨・小間物小売業の合計はH24年(2012)では2万352店である。

「販売革新」誌がH25年(2013)7月に各業態の店舗数を調査した結果を発表した。H25年(2013)6月時点のiタウンページから「手芸店」で検索した結果は全国に3311店舗数となった。2業種の約16%が「手芸店」となった。

この店穂にはイオンのパンドラは含まれるが、基本的に専業専門店なので、他のGMSの自営店舗やHC、衣料量販店、100円ショップ等のコーナー展開等は含まれていない。

この時点の3311店舗のうち、トーカイ459店舗、パンドラ339店舗、ドリーム76店舗、ユザワヤ52店舗、オカダヤ43店舗、5社合計で969店舗となり全体の約29%となる。

3311店舗からイオンパンドラ339店舗をひいた2972店舗が純粋の専業専門店と考えられる。

 

H25年(2013)の全小売業売上約139兆円を、小売店舗総数約100万店で割ると、1店舗平均1億3900万円の売上となる。

専業専門店2972店舗に1億3900万円をかけると市場規模は約4130億円となる。しかし、ホビークラフト業界の1店舗平均売上が1億円を超えるとは考えられない。

H24年(2012)、呉服・服地小売業の1店舗平均売上は約3977万円、また、洋品雑貨・小間物小売業の1店舗平均売上は約5501万円となる。この2業種の単純平均では1店舗平均売上は4739万円となり、年間平均坪売上は132万円である。

専業専門店数2972店舗に4739万円を掛けると市場規模は約1410億円となる。

 

④小売業態別推定市場規模

*専業専門店・・・1400億円

年商200億円以上・・・ユザワヤ、藤久

年商50億円以上・・・オカダヤ、喜和製作所

年商30億円以上・・・大塚屋、ドリーム

年商10億円以上・・・カナリヤ、マリエッタ、ヤーンショップ藤、ホビーラ・ホビーレ、トマト、考富、ABCクラフト、ウエスギ、トライ・アム・サンカクヤ

年商5億円以上・・・馬淵、さくらホビー、スワニー、ノムラテーラー、とらや商店、ウエスギ、コマドリ、ナカノテツ商店、まきの商店

代表的企業を、東京信用交換所企業年鑑を参考に記したが、記載されない企業も多く一部を想定して記したが漏れがあるかも知れない。年商1億円以上も数十社で大多数が小規模である。

 

*GMS内自営店舗・・・350億円

年商100億円以上・・・パンドラ

イトーヨーカ堂、ユニー、平和堂、イズミヤ、フジ、サンエーなどが自営の店舗を持つ。

ダイエー、イズミなどはテナントで運営する。

パンドラを除き、縮小傾向にある。

家庭用品売り場の洋裁道具・用品などを100億円と見ると、推定で350億円とする。

 

*SM内自営店舗・コーナー・・・50億円

多くの店舗が家庭用品売り場にゴンドラ1~3台程度の洋裁道具、用具等のコーナーがある。

ライフが多めの展開をしている。

 

*ホームセンター・・・400億円

100億円以上・・・ジョイフル2

10億円以上・・・LIXILビバ、アークランドサカモト

ジョイフル2、LIXILビバ、アークランドサカモト、ユニリビングには店舗数は少ないが1000坪規模の店舗を運営する。

ハンズマンは店舗ではないが、多くの展開をしている。

DIY業界の2013年売上は約2兆7000億円、その内カルチャーは5%の1350億円である。カルチャーにはホビークラフト用品、文具、玩具、書籍、事務用品等が含まれる。ホビークラフト関係を2割と見ると約270億円だが、ここにはジョイフル2は含まれていない。

また、大多数の店舗の家庭用品・日用品売り場には小間物として、洋裁道具・用品などが1~2台は置かれている。店舗数を4000店舗、平均1.5台とすると6000台設置されている。これらを含めて400億円と推定する。

 

*ドラックストア・・・10億円

以前はカワチなどでコーナー展開をしていたが今は見られない。

 

*衣料量販店・・・30億円

10億円以上・・・三喜

以前はキンカ堂、十字屋、田原屋(パシオス)など有力な店舗が多かったが、キンカ堂、十字屋はなくなり、田原屋も扱いは無いに等しい。

しまむらが入園関連などを扱っている程度である。

 

*ディスカウントストア・・・20億円

トライアルカンパニー、プラントなどは売り場を持つ。

ドン・キホーテ(長崎屋)、ミスターマックスなども多少の展開をする。

 

*100円ショップ・・・150億円

ダイソー、セリアは大きなコーナーを作り、毛糸を含めてアイテムの幅も広い。

キャンドゥー、ワッツなども扱い、4社で約6000店舗を展開する。

 

*生活雑貨・・・20億円

東急ハンズ等が扱う。

 

*通販・生協・ネット・・・200億円

50億円以上・・・楽天市場

30億円以上・・・フェリシモ

アマゾンや生協等を含めて200億円と推定

 

以上を合計すると2630億円となる。

現在、ホビークラフトショップで扱うカテゴリーで見ると、家計調査から見る市場とほぼ同額である。

市場規模は推定2600億円である。(但し、カテゴリーの幅を広げれば違った規模になるが、現状を考察しての規模である)

手づくり雑貨道具の販売を始める玩具、文具やアート関連、食材・用具用品等幅広く市場を捉えることが重要となってきた。

 

アメリカの人口は日本の約2.5倍である。アメリカホビークラフトの市場規模3兆円を人口比で割れば、日本の規模は1兆2000億円あってよい。しかし、現状はアメリカの1割以下しかない。

アメリカの市場は参加率(クラフトを行う家庭)も高く、1世帯の作品制作数も多い。男性の参加率も高く、フレームやインテリア、木工など男性型のクラフトも多い。

また、エツィーのような手づくり作品販売サイトも充実している。

 

日本においても市場の活性化を図り、クラフト作品の付加価値を高め、日常生活に溶け込むクラフト市場の創造が望まれる。

そのために、固定されたカテゴリーからの脱皮、教室ビジネスをどのように組み込むかも重要である。

新しい革新的なショップコンセプトの出現が今こそ望まれる。

 

以上