レポートNo126 2014.9.16  <倉林 勝>

ジョイフル本田

ジョイフル本田は今年4月に東証1部に上場した。長い間、売上や利益等が非開示であったが、今回から開示されるようになった。他の上場ホームセンターと比べ、売上総利益率は低いものの、販管費も低く、結果としてコメリに次ぐ営業利益率となっている。また、1店舗の規模が大きいため、他と比べ在庫回転率は高い。特に、750億円を超える現預金を保有するキャッシュリッチな企業である。アート・クラフトの大型専門店である「ジョイフル2」は売上10 0億円、純利益3億8000万円と推定する。


(株)ジョイフル本田

ジョイフル本田は長い間、日経MJなどの専門店調査に対して未回答のため売上や利益等が不明であったが、今年4月に東証1部に上場したことで決算内容を発表することとなった。

 

日本のホームセンターはDIY(Do It Yourself・日用大工・家庭の小修理などを消費者自身が行う)からスタートし、現在ではホームファニシング関連専門業者向けの販売、リフォーム工事、農家向けの農業用資材や材料、園芸やペット、電気製品や生活・日用雑貨品、あるいはクラフトや文具、食品まで幅広い商品を扱うようになり、店舗面積も大型化してきた。

アメリカでは小売業4位のホーム・デポ(売上7兆5000億円)、9位のロウズ(5兆500億円)の2社が市場を寡占し、扱い商品もハードウェアが中心で日本のよう生活・日用雑貨品などの扱いは無い。その代わりに家1軒を自分で作るための材料・資材が全て揃えられ、バスタブだけでも数十種類が置かれ、消費者が自分で配送するためのトレーラーまで置かれている。

日本とアメリカでは商品構成に大きな違いがある。

 

日本のホームセンターは1969年に島根県のジュンテンドーがアメリカの業態をヒントに作った店舗が最初といわれ、同年東京八王子に開店した村内ホームセンター(現村内ファニチャーアクセス)が最初にホームセンターの名前を使ったとされている。そして、埼玉県与野にハードウェア中心のドイト(現ドン・キホーテ)が1972年に開業し、異業種から多くの参入がなされるようになった。

1977年にDIY協会が設立され、現在は66社の小売業会員がいる。最大規模のDCMグループ(カーマ、ダイキ、ホーマック)の売上が4300億円、北海道から九州までの展開企業はコメリのみである。

激しい競争をしながら寡占化の道は、いまだ遠く長い。

 

ジョイフル本田は1975年に(株)ジョイフル本田を設立し、1976年に土浦市にジョイフル本田荒川沖店を開店した。

現在、茨城県、千葉県を中心に埼玉県、栃木県、群馬県、東京都の関東圏に15店舗を展開する。他のホームセンターが平均10~20億円の売上店舗に対し、ジョイフル本田は大型の店舗面積で100~150億円規模の店を展開する。この店舗の品揃えを他社が参考にして大型化を図っていくようになった。

自宅近くの「千葉ニュータウン店」は超大型店といわれ、駐車場台数は5000台を超え、近隣の土地を徐々に取り込み、現在は別棟でシネマコンプレックス、アスレチッククラブ、車検・タイヤ館を併設している。セルフのガソリンスタンドは30台規模が利用でき、近隣の最安値を打ち出している。

また、アート・クラフト用品を扱うジョイフル2も1000坪規模の展開をしている。

ジョイフル本田は前期から売上は横ばいだが、若干粗利益率が減少し、経費率は上昇し、結果として全ての利益率が低下した。

上場大手4社と比べると、粗利益率は低いが経費率も低く、営業利益率はコメリに次いで高いものとなっている。

在庫回転率は大手4社に比べると非常に高効率となっている。大型店舗の特徴だろう。

自己資本比率は長短借入金が8億円に対し現預金を750億円保有するというキャッシュリッチさが、81.3%という高さとなっている。

連結と単独の差は関連子会社の合計となるが、10億円近い利益を上げている。

 

(B)事業内容

ジョイフル本田グループはホームセンターを運営するジョイフル本田と連結子会社である(株)スマイル本田(住宅リフォーム事業)、(株)ホンダ産業(アート・クラフト用品の小売事業)、(株)ジョイフルアスレティッククラブ(スポーツクラブ事業)の3社から構成される。

 

ジョイフル本田

資材館(木材、建築資材、農業資材、大型機械、工具、金具、塗料、園芸用品、水道用品、作業用品等)、生活館(インテリア、カーテン、照明、日用消耗品、日用雑貨、米、飲料、ドラック、介護用品、カー用品、アウトドア用品、サイクル、事務用品、店舗用品、家電、電材、切り花、時計、眼鏡等)を中心に、ガーデンセンター、ペットセンター、エクステリアセンター、コインランドリー、精米所などから構成される。

また、木材等のカットを行う「工作室」や、機械の修理を行う「修理室」、カーペットの端縫い加工や壁紙の糊付け加工などのサービス部門を併設している。

併設の食品館にはスーパーの「ジャパンミート」が出店しているが、テナント出店である。(株)ジャパンミートは茨城県小美玉市に本社を置き、年商800億円規模である。

 

スマイル本田

キッチン、バス、トイレの水回りや屋根、外壁の塗装など住宅改修工事から部屋の模様替え、小さな補修工事まで幅広く行う住宅リフォームの専門店である。

千葉ニュータウン店では1000坪規模のショールームに海外を含めたメーカーの設備機器が展示され、モデルルームとして生活提案をしている。

 

ホンダ産業

核となるアート・クラフトの大型専門店「ジョイフル2」と他にアンティーク小売、飲食、宝くじ売場等を行っている。

 

子会社の売上が256億円(連結-単体)とすると、ホンダ産業が160億円、スマイル本田が79億円、ジョイフルアスレティックが17億円の売上である。

子会社合計の純利益は売上比3.9%の約10億円である。

 

沿革

ジョイフル本田は

1975年に茨城県土浦市に設立し、1976年に土浦市に荒川沖店を開設する。

1983年にスマイル本田を設立し、1985年にホンダ産業を設立する。

2009年に丸の内キャピタル(株)が運営するファンド「丸の内キャピタル第1号投資事業有限責任組合」と資本提携を締結する。このファンドは丸の内キャピタル、三菱商事、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ証券が出資し、現在、同ファンドは31.4%の株式を所有する。

2010年にジョイフル本田は、スマイル本田、ホンダ産業、ジョイフルアスレティック等を子会社する。

2014年4月に東証1部に上場する。

 

店舗

茨城県・・・荒川沖、古河、守屋、ニューポートひたちなか

千葉県・・・八千代、市原、君津、千葉、冨里、千葉ニュータウン

埼玉県・・・幸手

栃木県・・・宇都宮

群馬県・・・新田千代田

東京都・・・瑞穂

合計15店舗、アンダーラインの6店舗は「超大型店」と位置づけられている。

リフォーム・・・消費増税前の駆け込み需要により、太陽光発電などの屋根工事、塗装工事が順調に推移した。加えて台所関連、浴室関連、給水湯関連商品も好調であった。

ガソリン・灯油・・・販売単価は高値で推移したが、低燃費車の普及などで販売数量は減少した。冨里店の新設効果で増加した。

ペット・・・季節商品のペットベッドや洋服などの関連商品が伸び悩んだ。

アート・クラフト・周辺商品・・・ジョイフル2をはじめ飲食やアンティーク等の主要事業が伸び悩んだ。ジョイフル2ではアクセサリーパーツやステーショナリー等の販売が低迷した。

 

(D)ジョイフル‐2事業

ホンダ産業の中核となるアート・クラフトの大型専門店で、ジョイフル本田の大型店内に10店舗展開している。

画材、書道、陶芸、ステンドグラスなど多彩な趣味の素材や創作用品をはじめ、絵画、ポスターなどのインテリア商品の販売、文具等の販売、名刺や額装などの受託加工サービスを行っている。

また、カルチャースクールの開講、オンラインショップ「Art&CraftFAN」の運営を行っている。

1985年に創業しホームセンター内の大型アート・クラフトショップの先駆けとなり、その後、他のホームセンターも同様の動きを見せた。

LIXILビバのヴィーシーズ(現在7店舗展開)開設に当たってはジョイフル2の中堅社員が5名が退社して参加し、その5名はその後アークランドサカモトのアーク・オアシス・デザイン(現在5店舗展開)の開設に参加した。

 

部門別売上高を見ると、ジョイフル2と同じフロアで展開するアンティーク事業(OLD FRIEND、10店舗展開)、飲食店(イタリアンレストラン・カフェ、9店舗展開)を含めて113億円の売上である。

アンティーク売場や飲食を見ると、ジョイフル2で売上は100億円規模と想像する。1店舗平均10億円の売上だ。

千葉ニュータウン店はアンティークと飲食を除くと900坪程度ある。

1店舗平均10億円の売上、平均売場面積900坪と想定すると坪年売上約110万円となり、平均売場面積800坪と想定すると坪年売上125万円となる。生地手芸業界と比べても高いように思われる。

関連会社の純利益9億8900万円を単純に売上比率で分けると、ホンダ産業の純利益は約6億2000万円である。

ホンダ産業の売上160億円に対し、ジョイフル2の売上100億円と仮定し、純利益を比例配分すると3億8700万円となる。

想定であるが、純利益率3.8%の優良アート・クラフト売場となる。

 

(E)ジョイフル本田

ジョイフル本田は1976年に荒川沖に1号店を出店してから今日まで15店舗の出店しかない。

2004年からの10年間でも宇都宮、ひたちなか、瑞穂、千代田の4店舗の出店だけである。また、その間に店舗閉鎖や移転は全くない。

店舗を作り、隣接する土地を借りたり買ったりしながら土地を取込み、そこに別棟を立て、新しい事業を導入し1店舗の拡大を図っていく。

お客のニーズに応えるために、絶えず店舗の拡大や、新商品、新サービスを付加し、「暮しのテーマパーク」といわれる巨大な店舗に進化させ、地域一番店を目指す。そして、夢や、楽しさ、活気、賑わいにあふれた「ジョイフル本田タウン」を創造する。

 

現在の重要課題は

1.新規事業・新規出店による更なる事業拡大

地域社会に役立つモノとサービスを生み出すことで、既存店の継続的な黒字による業績向上を目指す。そして更なる事業拡大にために、新規事業による既存店の活性化や新規出店による出店地域の拡大も不可欠と考えている。地域を選んで大規模店舗を出店し、長期にわたり顧客の支持を得ることができる丁寧な店舗運営を行っていく。

 

2.顧客に支持される店つくり・売場作りの強化

ジョイフル本田グループの企業理念である「顧客の喜びが私達(企業)の喜びである」をモットーに、用途・機能を高めた深い品揃えと圧倒的な商品ボリュームを追求してきた。今後は、この方針を深化させ、商品に関わる知識・技術や情報提供できる接客対応力を向上させ、プロ需要にも応えられる品揃えを強化し、新たな需要を喚起できる売場作りを徹底して行う。

 

3.人材の確保・育成による企業競争力の増強

「人材の確保・育成」はジョイフル本田グループを発展させ、更に他社に先駆けた魅力ある店作り、売場作りを実現していくための永続的な課題である。社員教育を徹底することにより、人材面で他社との差別化を図り、多くの「小売業のプロ」を育て、働く人が会社目標を共有化できる、やりがいが持てる企業風土を醸成していく。

次世代のリーダーを育成し、将来の持続的発展を担える人材の確保と適材適所の配置が、今後の事業拡大に対応するためにも必須と考えており、「行動する人材(店長)が行動する企業(店)をつくる」を目標に、持続的な人材教育・育成に取組んでいく。

 

上場し、豊富なキャッシュをベースにどのように発展していくのか楽しみである。

 

以上