レポートNo113 2014.6.3  <倉林 勝>

平成26年2月期チェーンストア決算

イオンもセブン&アイも大きく増収するが、営業利益はイオンの減収、セブン&アイの増収と明暗を分けた。イオンとセブン&アイは営業総利益で見るとイオンが3300億円多いが、販管費も5000億円多い。特に従業員給与・賞与が3000億円多い。それぞれの業態に違いはあるが、これが大きく明暗を分けた。

上位8社の営業収益合計は15兆8700億円と前年から1兆4500億円増加し、昨年の小売業総売上138兆8970億円の11.4%に達した。上位企業の占有率が高まる。


*決算日・・・イオン(株)2月28日、(株)セブン&アイ・ホールディングス2月28日、ユニーグループ・ホールディングス(株)2月28日(前期の2月20日から決算期を変更、前年比は前期との単純比較)、(株)ダイエー2月28日、(株)イズミ2月28日、(株)ライフコーポレーション2月28日、(株)アークス2月28日、(株)バロー3月31日、(株)平和堂2月20日、イズミヤ(株)2月28日、(株)マルエツ2月28日、(株)フジ2月28日、(株)オークワ2月20日、(株)ヤオコー3月31日、(株)カスミ2月28日、(株)いなげや3月31日、(株)サンエー2月28日

 

営業収益の順に17社を掲載した。

(イオンのイオンリテール、イオン九州、イオン北海道、マックスバリュ西日本・東海・九州・中部、セブン&アイのイトーヨーカ堂、ヨークベニマルは1300億円以上の営業収益があるが、未掲載とした。)

減収が4社、営業利益減益が8社、赤字が1社である。当期純利益減益が6社、赤字が2社である。

営業利益の順ではセブン&アイ、イオン、イズミ、ユニー、バロー、アークス、平和堂、ヤオコー、サンエーの順となる。

営業利益率の順では

サンエー(7.0%)、セブン&アイ(6.0%)、イズミ(5.2%)、ヤオコー(4.4%)、平和堂(3.3%)、バロー(3.1%)、アークス(3.0%)、イオン(2.7%)、ユニー(2.5%)、カスミ(2.5%)、残る各社は2%以下である。

連結自己資本率は低下傾向、連結有利子負債は増加傾向にある。

手持ち現預金に対する有利子負債を見ると、イオン2.4倍、セブン&アイ1.2倍、ユニー6.2倍、ダイエー3倍、イズミ25.6倍、バロー.5.1倍、平和堂3.6倍、イズミヤ10.7倍となる。アークスは現預金の方が多い。

当期純利益に対する有利子負債を見ると、イオン34.5倍、セブン&アイ5.3倍、ユニー48.1倍、イズミ10.0倍、アークス2.0倍、バロー9.5倍、平和堂8.3倍、イズミヤ168.1倍となっている。(ダイエーとライフを除く)

営業総利益率ではユニー、ダイエーと高いが販管費も高い。イオンとセブン&アイの営業総利益率は1ptsイオンが高いが、販管費も4pts強高い。

その他営業収益(金融事業収益、不動産収益、コンビニ収益等)は営業収益イコール営業総利益でもある。セブン&アイが営業収益比16.9%、ユニーが16.3%、イオンが12.1%である。また、営業総利益に対する割合で見ると、セブン&アイが49.2%、ユニーが42.5%、イオンが34.2%である。

営業利益率を見るとダイエーを別にして、イオン、ユニー、ライフが3%以下である。

当期純利益率は3%台がセブン&アイ、イズミの2社のみである。

上位8社はH25年度にイズミヤからアークスに、H26年度は平和堂からバローに入れ替わった。

営業収益は13兆円台、14兆円台、15兆円台と大きく増加する。8社の営業収益は金融やデベロッパーなどのサービス分野も含まれるが、単純にH25年の小売業売上高138兆8970億円(経産省)に対して前期から0.9pts増の11.4%となった。

また、イオ、セブン&アイ合計の営業収益は上位8社合計に対し前期から1.8pts増の75.8%となった。

8社の寡占率が高まるが、イオン、セブン&アイの寡占率がより高まっていく。

売上総利益率は低下するが、その他営業収益率は上昇する。金融事業、デベロッパー事業、コンビニエンス事業の収益が高まっている。

特別利益の減少(ユニー180億円)、特別損失の増加(イオン230億円)、当期純損失の増加(ダイエー206億円)等があって当期純利益は減少した。

イオンはH25年3月に(株)ピーコックストア(現イオンマーケット)の全株式をJ・フロントより取得し、25年8月には(株)ダイエーを連結子会社化した。

セブン&アイはH26年1月に(株)ニッセンホールディングスを連結子会社に、フランフランを運営する(株)バルスと資本業務提携、(株)バーニーズジャパンを持分適用関連会社とした。

 

H26年2月期は、イオンは増収減益、セブン&アイは増収増益となった。

イオンは7098億円の増収、営業総利益も2930億円の増益となったが、販管費も3120億円増加した。営業収入は12.5%の増加だが、販管費は17.5%の増加になり、営業利益は減益となった。営業外収益の減少、特別損失の増加等で当期純利益は大幅な減少となった。

セブン&アイの営業収益は12.8%の増収だが、販管費は8.1%の増加にとどまり、営業・経常・当期純利益と大きく増加させた。

販管費はイオンがセブン&アイより約5000億円多い。特に従業員給与・賞与は3000億円多い。この差は業態の違いにもよるだろうが大きく、利益に大きな差を生じる。

 

所在地別で見ると、イオンは日本国内の比率が92%、セブン&アイは65%である。国内だけを見るとイオンはセブン&アイに対し営業収入では2兆2000億円多いが、営業利益は1400億円少ない。イオンはアセアンで、セブン&アイは北米で成果を上げるが、中国では共に赤字を計上する。

専門店事業を除く全ての事業部門は増収となったが、小売事業の中核となるGMS事業、SM事業、専門店事業共に大幅減益となった。

営業収益構成比はGMS事業47.8%、SM事業24.3%、合わせて72.1%となる。また、営業利益構成比でみるとデベロッパー事業25.3%、金融事業23.8%、GMS事業20.4%、サービス事業11.6%、合わせて81.1%となる。

 

中期的経営戦略

イオングループは中期経営計画(2014~2016年度)を策定した。これまで取り組んできた「4シフトの加速」と「商品本位の改革」を推進し、これらの2つの「革新」を実現することで、お客の変化にいち早く対応し、飛躍的な成長を目指す。

(4つのメガトレンドへの対応)

①アジアシフト・・・新規国、新規エリアへのSC出店準備を進め、2014年1月にはベトナムで1号店を開設した。2014年度はベトナム2号店の出店、カンボジア、インドネシアへの1号店出店を計画する。中国においても江蘇省、湖北省の新規エリアに出店する。

②都市シフト・・・都市型小型SM「マイバスケット」や小柄DS「アコレ」の出店を加速し、連結子会社化したダイエー、イオンマーケット(ピーコック)の成長により都市部のシェアを拡大する。

③シニアシフト・・・アクティブで消費に積極的なシニア世代を「G.G(グランドジェネレーション)」と位置づけ「G.Gモール」や「G.Gカード」等、シニア対象のビジネスモデルの確立に努めてきた。シニアニーズの応える商品開発、品揃えを強化し、商品面におけるシニアシフトを加速させる。

④デジタルシフト・・・「イオンスクエア」、「イオンネットスーパー」等のプラットフォームを活用し、デジタル分野での本格的な事業展開を推進する。インターネットで発注した商品の店舗での受け取り、店舗で購入した商品の自宅への配送など、インターネットと店舗が融合したオムニチャネル戦略を強化する。

(商品本位の改革)

①新しいお客様ニーズに対応した商品、売場の進化・・・ライフスタイルの変化に対応するために、商品の改革を強化する。食品については、生鮮品等、素材中心の売場構成から「作らない化」、「健康・オーガニック」等のコンセプトに基づく新しい商品、売場開発に取り組む。このような取り組みを全ラインで進め「商品本位の改革」を実現する。

②イオンブランド「トップバリュ」のさらなる進化・・・「トップバリュ」を全面的に刷新する。「トップバリュセレクト」、「トップバリュ」、「トップバリュベストプライス」の3層構造を更に進化させ、規模や質、安全・安心等において国内NO1のプライベートブランドを実現する。

セブンイレブン等のチェーン全店売上を含めたグループ売上は25年2月期は8兆5076億円、26年2月期は9兆5979億円(前期比112.8%)となった。

営業収益は百貨店事業を除く事業が増収に、営業利益は百貨店事業、フードサービス事業、その他事業を除く事業が増益となった・。

営業収益構成比はコンビニエンスストア事業44.9%、スーパーストア事業35.7%、合わせて80.6%となる。営業利益構成比はコンビニエンスストア事業75.8%、金融関連事業13.2%、合わせて89.0%となり、スーパーストア事業は8.7%である。

 

次期見通し

政府の景気対策の効果を見込むものの、消費税引上げもあり、先行きに対して不透明な状態が想定される。

既存事業においては、セブンイレブンを中心とした店舗網の拡充に加え、付加価値の高い商品開発と接客力の向上に努めるとともに、個店ごとの商圏特性に合わせた品揃えや店つくりに取り組む。

また、グループシナジー効果の最大化に向け、「セブンプレミアム」の売上高8000億円(前期比1300億円増)を含めた、グループ各社のオリジナル商品売上高合計は2兆6620億円(前期比2620億円増)で計画する。

さらに、オムニチャネル時代に対応した新しい小売業を創造することを目指し、リアル店舗とネットの融合を推進するとともに、資本業務提携をした各社の強みをグループに取り入れ、企業価値の更なる向上を目指す。

セブンイレブンは、高齢化や単身世帯の増加、中小小売店鋪の減少、働く女性の増加といった社会構造の変化を成長機会と捉え、求められる役割を果たすために、「近くて便利」なお店に更なる進化を目指す。店舗面では既存エリアへの出店強化に加え、新規エリアへの展開として愛媛県への出店を開始するなど、過去最高となる1600店を出店する。商品面ではファストフード商品の更なる品質向上、お客様の潜在ニーズを捉えた新しい商品の開発を推進する。

イトーヨーカ堂はプライベートブランド商品の開発及び接客販売強化により販売力を高め、売場効率を意識した店舗構造改革に注力し、収益基盤の改善を推進する。 

 

(E)業態別業績

(業態はチェーンストアエイジの区分を使用)

*イオンリテールはGMS344店舗、SM・DS6店舗、その他(イオンバイク、イオンリカー等)185店舗、合計535店舗からなる全ての合計

*イトーヨーカ堂はアリオSC、小型SM「食品館」、DS「ザ・プライス」を含め179店舗の合計。

*ユニーはGMS「アピタ]97店舗、SM「ビアゴ」121店舗、ユーホーム11店舗を含め229店舗の合計

*ダイエーは単独、GMS118店舗を有する。

*イズミは単独、GMS88店舗、単独出店のエクセルを含むと102店舗となる。

*平和堂は単独、GMS65店舗、SM74店舗、合計139店舗の合計

*フジは単独、GMS31店舗、SM52店舗、DS5店舗、その他9店舗、合計97店舗の合計

*イズミヤは単独、SMを含めて93店舗。

*イオン九州はGMS47店舗、HC42店舗、その他31店舗、合計120店舗からなる全ての合計。

*イオン北海道はGMS28店舗、その他21店舗、合計49店舗からなる全ての合計。

*サンエーは単独、GMS、SM等を含んで79店舗の合計

当期純利益の順位はイズミ、イオンリテール、平和堂、サンエー、イトーヨーカ堂、イオン北海道の順である。

 

ヨークベニマルは単独、他は連結である。(マックスバリュ西日本、九州の前期比はイオン本体の決算補足資料に未掲載)

当期純利益の順ではヨークベニマル、バロー、ヤオコー、アークスの順である。

7-Eleven,Incは2013年12月決算、為替換算レートは前期の1ドル79.81円から97.73円になった。売上の約半分がガソリン売上で前期比152.6%となった。

7-Eleven,Inc&セブンイレブンジャパンは単独、他は連結である。

そごう・西武は単独、他は連結。

そごう・西武、Jフロントリテイリング、高島屋は2月末決算、他は3月末決算。

三越伊勢丹HDの純利益減少は、前期に法人税等の調整で税金等が△35億円であったが、今季は116億円になったことが影響した。

エイチ・ツー・オー・リテイリングの純利益は阪神梅田店の建替え工事に伴う関連損失114億円を特別損失に計上したためである。

そごう・西武の純利益は前期36億円の赤字であった。

 

企業グループの収益順にバローが参入し、競争の激しさを感じさせる。

GMS、SMなどの営業収益の順は企業グループの規模の大きさとは関係がないようだ。

コンビニエンス業績が企業グループ全体を左右し、PB競争が激しさを増す中で、合従連衡は益々激しさを増す。

イオンはダイエーを傘下に収め、マルエツ、カスミを「都市シフト」の戦略のもとに経営統合を行い、セブンイレブンを含むコンビニエンスの対抗策とするようだ。

イズミヤはH2Oの傘下に入る。Jフロントは参加のピーコックをイオンに売却したが、H2Oは逆の方向に向かう。

2014年も流通は激しく動くであろう。

 

以上