レポートNo106 2014.3.19  <倉林 勝>

ハンドメイド売買サイト

ホビークラフト市場が低迷する中で、「手づくり市」は全国的な広がりを見せる。また、アメリカEtsyの影響か日本においても「ハンドメイド製品売買サイト」が、多数開設されている。Etsyは1400億円規模となった。国内のtetoteの掲載作品数は29万点となった。サイトで販売されるものと、実店舗の商品構成がかけ離れていることも市場が低迷する要因だろう。国内の販売サイトの商品構成を検証する。


ホビークラフト関連の消費は家計調査を見ても低調だ。平成25年の生地・着尺地、他の生地・糸類、手芸・工芸材料は全て前年から低下している。

しかし、別の角度から見ると何かを作る人達は増加しているようにも見える。

ネットで「手作り市」を検索すると、全国で無数に「手作り市」が開催され、その様子も写真で見ることができ、土日を問わず平日にも開催され、ビックサイトで開催されることもある。

また、アメリカEtsy(エッツィー)に刺激されてか、日本においても「ハンドメイド製品売買サイト」がいろいろ設立されている。

 

(A)Etsy(エッツィー)

Etsyは2005年6月に手工芸品を販売するマーケットプレイスとして設立され、今日まで急成長を続けている。

写真や絵画、洋服、宝石・アクセサリー、刺繍やキルト、編物、キャンドル、ガラス、木製品などあらゆる手工芸品を扱う。

クリス・アンダーソンは著書「メーカーズ」の中で次のように語る。エッツィーは僕が紹介した中で最大のメーカー市場である。2005年に開設されたこのサイトを今では1700万人を超える会員が利用し、2011年には5億ドル相当の売買が行われた。2012年4月の時点で300人の社員を抱え、このサイトで世界中の4000万人の消費者が87万5000人の売り手から毎月6500万ドルもの品物を買っている。設立から7年後の現在の企業価値は6億8800万ドルと推定され、その急激な成長は1990年代はじめのイーベイと全く同じだ。モノのロングテール向けの急成長市場となっている。(2012年10月発刊)

 

Etsyは英語圏(米国、カナダ、英国、オーストラリア)を中心に運営してきたが、2011年にフランス語版、ドイツ語版、オランダ語版、イタリア語版、スペイン語版を追加した。日本語版は現在ないが、いずれ立ち上がるのではないかとの観測もある。

2012年の売上ではアクセサリーが首位であるが、ウェディング用品や衣料品、インテリア用品の売上も増加している。また、もっとも急成長したジャンルは家具(ヴィンテージ品やリサイクル品)である。

株式公開の予定はないが、いつでも公開できる準備はしている。

 

売上高は

2009年 1.8億ドル(1ドル=100円、180億円)

2010年 3.14億ドル(314億円)

2011年 5.26億ドル(526億円)

2012年 8.95億ドル(895億円)

2013年 14億ドル(1400億円)と急成長を遂げる。

 

現在、1500万点近くが掲載されるが、販売者も購入者も初めに登録をする(登録手数料は無料)

販売者は掲載料として1点(売れるまで、ないし4か月間)に付20セントかかり、売れた場合は手数料として掲載価格の3.5%をEtsyが徴収する仕組みである。

制作者のコミュニティやクラフトワークショップを運営し、手作りがエコであることを発表している。

 

(B)tetote(テトテ)

日本最大のハンドメイド製品売買サイトであるtetoteは2011年6月にサイバーエイジェントが立ち上げたが、2012年9月にクロバー(株)の関連会社であるOCアイランド(株)が買収した。

現在も、サイバーエイジェントが運営するアメーバサービス(ブログやオークション)サービスと連動している。

tetote開設当初は17カテゴリーで約4200作品が掲載されていたが、2012年8月には19カテゴリー9万3800作品が掲載された。そして、2014年3月には19カテゴリー29万作品が掲載されている。

売場面積の制限がないネットの中では益々ロングテール化していく。

現在のカテゴリーを見ると、縫う・編む・刺す以外の幅広い製品群が掲載される。これらのカテゴリー幅は更に拡大されるだろう。カテゴリーとアイテムは以下の通りで、掲載作品数は2014年3月13日現在である。

 

:アクセサリー(掲載作品98.165作品)

指輪・リング、ピアス、イヤリング、ネックレス、ブレスレット、ヘアアクセサリー・シュシュ、コサージュ、ブローチ、バックアクセサリー、キーホルダー・ストラップ、スマートフォンアクセサリー、小物・その他

:ファッション(19.855作品)

Tシャツ、ワンピース、トップス・アウター、パンツ、スカート、和服・和装小物、ストール・ショール、帽子、靴・履物、小物・その他

:バック・財布・ケース(42.510作品)

バック、トートバック、ショルダーバック、かごバック、財布・コインケース、がま口、ポーチ、巾着、スマートフォン・タブレット、ケース・その他

:ニット・ソーイング(10.952作品)

帽子・マフラー・手袋・靴下、セーター・カーディガン、刺繍・ステッチ、キルト・パッチワーク、小物・その他

:メンズ(2.442作品)

アクセサリー、ファッション、バック・財布、ステーショナリー、小物・その他

:家具・インテリア雑貨(16.823作品)

家具、照明・ランプ、収納用品、キッチン小物、ウォールデコレーション、リース、インテリア雑貨・その他

:陶芸・ガラス・食器(4.397作品)

陶器、ガラス工芸、食器、伝統工芸・その他

:文具・ペーパークラフト(10.464作品)

文具・ステーショナリー、ブックカバー・しおり、はんこ・スタンプ、シール・ステッカー、カード・レター、折り紙・その他

:ベビー・キッヅ(37.741作品)

ベビー服、スタイ、ポーチ、マタニティ、キッズ服(女の子)、キッズ服(男の子)、帽子、アクセサリー、ポシェット、通園・通学アイテム、小物・その他

:おもちゃ(2.194作品)

知育玩具、ミニチュア、人形、フィギュア・その他

:ぬいぐるみ・人形(6.444作品)

ぬいぐるみ、あみぐるみ、人形、ニードルフェルト・その他

:リメイク・デコレーション(4.906作品)

服、スイーツデコ・フェイクスイーツ、アクセサリー、バック、小物・その他

:ビーズ(12.976作品)

アクセサリー、ビーズ小物・その他

:アート・写真(4.012作品)

絵画、イラスト、写真・グラフィックス、版画・彫刻・その他

:アロマ・キャンドル(952作品)

アロマ、キャンドル、アロマ・キャンドルホルダー

:フラワー・ガーデン(4.305作品)

ドライフラワー、ブリザーブドフラワー、プランター・その他

:ペットグッズ(3.526作品)

ウェア、アクセサリー、ペット小物・その他

:ヴィンテージ・アンティーク(2.239作品)

アクセサリー、衣類・バック・財布、家具、アンティーク、雑貨・その他

:ハンドメイド素材(5.326作品)

生地・レース、型紙・パターン、各種パーツ、手作りキット、ラッピング、その他

 

以上19カテゴリーで約29万作品が掲載される。単純に1作品に500円の材料費が使われているとすると1億4500万円の材料がどこかで購入されていることになる。

tetote以外に同様のサイトや手作り市のような販売する場が多くあるので、販売を目的に材料を購入する金額もかなりのものであろう。

カテゴリー作品数の順位はアクセサリー、バック・財布・ケース、ベビー・キッズ、ファッション、家具・インテリア雑貨、ビーズ、ニット・ソーイング、文具・ペーパークラフトの順である。

また、アイテム別作品数順位はピアス(23.961作品)、ネックレス(15.006作品)、ヘアアクセサリー・シュシュ(14.375作品)、ビーズアクセサリー(12.426作品)、ブレスレット(12.114作品)、通園・通学アイテム(11.474作品)、キーホルダー・ストラップ(9.320作品)、バック(8.449作品)、インテリア雑貨・その他(7.578作品)、イヤリング(5.570作品)、トートバック(5.172作品)、ブローチ(4.780作品)、ファッション小物・その他(4.463作品)、ケース・その他(4.236作品)、ベビー・キッズその他・小物(4.152作品)、ニット・ソーイング帽子・マフラー・手袋・靴下(4.046作品)の順である。

 

これらのカテゴリー、アイテムと店舗の品揃えや提案はどの程度リンクしているだろうか。一度考える必要があるだろう。

作品を販売したい人が多いことを考えると、この時期に通園・通学アイテムの材料やオーダーだけでなく、手作り作家の製品を販売することも考えられる。また、シーズンに対応する委託販売のコーナーの常設も考えられるだろう。

 

tetoteは月会費が300円(税別)である。会員の掲載作品数は無制限であるが、平均会員1人が10個を出品していると仮定すると29万作品は2万9千人の会員となり、会費は年間1億440万円となる。

29万作品が月5%販売されれば月間14.500個の販売、年間174.000個の販売となる。平均価格が1000円とすると売上は1億7400万円、手数料は10%(税別)で1740万円である。会費収入と合わせて1億2000万円ほどの収入となる。

現在、サイバーエイジェントから移動した10人を超える人たちで運営されている。採算はどうだろうか。

 

ハンドメイド作品売買サイトはtetoteのようなサイト以外にもヤフーのヤオフクや楽天オークションなどにもあるが、オークションは価格を作り手側で決めることができない。作り手が価格を決められるサイトはtetote以外にも多くある。

 

(C)ハンドメイド作品売買サイト

ハンドメイド作品売買サイトはインターネット関連サービス企業や情報通信企業、広告関連企業などが開設し、クラフト小売業でも行っている。

 

①minne(ミンネ)

(株)peperboy&co(ジャスダック公開・東京都渋谷区)が運営する。本業はインターネットサービスやレンタルサーバー事業を運営する。

作家同士の交流やリアルイベント(実店舗での販売)などを展開する。会費は無料で売買代金の10%が手数料である。カテゴリーはtetoteと同様で、掲載作品数は不明だが、ここでもアクサリーが最大の掲載である。

 

 

②iichi(いいち)

広告代理店博報堂の関連会社であるiichi(株)(神奈川県鎌倉市)が運営する。ハンドメイド・クラフト・手仕事の売買サイト運営の専門企業である。

本格的な作家や職人が多く参加し、日本の文化工芸を海外に向けて販売することも行い、アマチュアには敷居が高い。会費は無料であるが、手数料が20%と他に比べ高く、商品単価も高めである。

約10万作品が掲載され、半数がアクセサリーである。次にバック・財布、雑貨、家具・インテリア、ファッション、器・キッチン、アートと並ぶ。

東京浅草にiichiギャラリーショップを運営し、企画展やワークショップなどを開催する。

 

③Creema(クリーマ)

赤丸ホールディングス(株)(東京都渋谷区)が運営する。赤丸ホールディングスはCreemaの運営を中心にアートイベントの企画・制作・運営を行い、自社で「ハンドメイドインジャパンフェス」を開催する。

昨年からビックサイトで開催し、昨年実績は出店ブース1965、参加クリエーター2400名、来場者2万6388名と発表した。

Creemaの会費は無料だが、販売手数料は12%である。

掲載作品数は約14万8000作品でtetoteに次ぐ規模であるが、半分ほどである。作品の約60%がアクセサリー・ジュエリーで、次いでバック・財布・ケース、アート、家具・インテリア雑貨、雑貨・ステーショナリーと続く。

 

④creaco(クリエーコ)

NTTコミュニケーションズが運営し、ユザワヤが提携しユザワヤ友の会のポイントが使用できる。

creacoのレシピは充実している。会費は月額200円、販売手数料は1点につき10円と販売代金の5%がかかる。

掲載作品数は約2万7000作品で、規模は小さい。2割弱がバック・小物で、次いでアクセサリー、ベビー・キッズ・マタニティー、ファッション小物と続く。

 

⑤crapaca(クラパカ)

広島のホームページ制作会社のデジフィックスが運営する。

一般会員は会費無料で、5作品までは販売手数料も無料であるため、少量の出品者には使いやすい。それ以上の出品に対しては、1作品ごとに販売手数料が30円かかる。有料会員は会費月額500円で1000作品まで掲載でき、販売手数料は1作品ごとに30円かかる。

掲載作品数は約7000作品で、規模は小さい。全体の約半分がアクセサリー・貴金属である。

 

⑥cotte(コッテ)

(株)東京リサイクル(東京都中野区)が運営する。東京リサイクルは手作り市の「青空個展」を展開し、そこからcotteをスタートした。対面販売の「青空個展」とオンラインのcotteの双方を利用できる。

青空個展は東京を中心に代々木八幡宮や亀戸天神など各地で月間10か所程度開催している。

一般会員は10作品までの掲載で、会費も販売手数料も無料である。プレミアム会員は月額会費300円で、掲載数に制限はなく、販売手数料も無料である。

掲載作品数は約5500作品で、規模は小さい。青空個展の補完的運営だろう。

 

⑦TSUCURU(ツクル)

ソーシャルコマースサービスの企画運営をする、(株)レトロミーム(東京都港区)が運営する。

TSUCURUは2012年9月にオカダヤと業務提携を行い、オカダヤの既存顧客向けにシステム連携、会員連携を進めている。

会費は無料、掲載数は制限なし、販売手数料は販売額の10%である。

掲載作品数は不明だが、インテリア・雑貨やアートが多い雰囲気である。

 

⑧SOWZO(ソーゾ)

2014年1月に開設されたサイトで、掲載作品数は100作品までで、会費、販売手数料全て無料である。

運営は任意組織のSOWZO(大阪市住吉区)で、手作り・アート活動の活性化を目的としたWEBサイトの企画・構築・運営をしている。

クラフト関連のギャラリーの紹介や、関西を中心とした手づくり市を開催している。手づくり市は毎月20日、第3・4土曜日が主体で大阪天満宮や京都百万遍など月に5~6会場で開催している。

スタートしたばかりで、「無料」がどこまで継続されるかは不明、また掲載作品数も不明である。

 

⑨dクリエーターズ(ディークリエーターズ)

NTTドコモが運営する。カテゴリーには他では無い「デジタルコンテンツ(小説、コミック、エッセイ等)」が扱われる。

ドコモは、将来的には企業とのコラボレーションを通じたマスプロダクト化なども視野に入れ、クリエーターのメジャーデビューをサポートすることも検討している。登録には本人確認書の提出が必要で、他のサイトより手続きが厳しい。会費は無料、掲載作品数に制限はないが、販売手数料は26%と高い。

dクリエーターにはパンドラハウスがリンクされ、パンドラハウスにもdクリエーターがリンクされる。

掲載作品数は約3万作品で、規模はまだ小さい。約4割がアクセサリーで、次いでファッション、ステーショナリー・雑貨と続く。

 

ハンドメイド作品の売買サイトは上記以外にも、ホビークラフト専門ショップやコロネットを買収したオールアバウトなどでも運営されている。

ホビークラフトショップの低迷とは別に消費者が制作したハンドメイド作品を販売するチャネルは、インターネット内のマーケットプレイスや各地の手作り市などが元気な様子だ。

アメリカ市場の例では、クラフトは個人使用、ギフト、ホームデコ、ホリディデコなどが制作動機であるが、販売を動機とするものの20%近くある。日本と同様にアクセサリー・ジュエリーなどは特に顕著な動きを見せる。

第38回東京ホビーショー(4月24日~26日)においても、ハンドメイド製作者の販売ブースが大きく用意される。tetote協力する東京クリエーターズ・マルシェ、日本ヴォーグ社が協力するマルシェ・タレント・アラカルトなどだ。

ハンドメイド製作者と店舗を結ぶ「売買」というキーが無視できないようになってきた。

ハンドメイド制作者の情報発信力も無視できない力となってきた。

 

以上